昨年は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行し、学校を含む社会全体が感染症拡大前に近い状態に戻った年でした。このような社会環境の変化は、障害のある子供たちの教育環境やその在り方が改めて問われる機会であったと思います。
文部科学省におきましては「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」により、「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒の割合が、小・中学校においては、8・8%であると明らかになったことから、昨年3月には「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議」において、通常の学級に在籍する障害のある子供へのより効果的な支援施策の在り方について報告を取りまとめ、今後の方向性を示しました。本報告等を踏まえ、障害のある子供と障害のない子供が交流及び共同学習を発展的に進め、それぞれの教育ニーズを踏まえつつ、共に教育を受ける状況と柔軟な教育課程及び指導体制の実現を目指し、実証的な研究を行うため、特別支援学校と小・中・高等学校のいずれかを一体的に運営するインクルーシブな学校運営モデルを構築するための新規事業を含む予算案が閣議決定されました。
この他にも教師の専門性の向上、医療的ケア児への支援の充実や、ICTを活用した指導の充実、関係機関との連携強化による切れ目ない支援体制の整備などに取り組んで参ります。
本年も、障害の有無に関わらず誰もがその能力を発揮し、共生社会の一員として共に認め合い、支え合い、誇りを持って生きられる社会の構築に向けて、各種取組を進めて参ります。
教育家庭新聞 新春特別号 2024年1月1日号掲載