学習指導要領改訂の背景には、世界の教育改革で情報活用能力が基礎的リテラシーに位置付けられたことや、産業構造の変化に伴う職業の変化に伴い「人工知能(AI)が進化して人間が活躍できる職業はなくなるのではないか」、「今学校で教えていることは時代が変化したら通用しなくなるのではないか」といった懸念がありました。しかし、中央教育審議会では、このような時代だからこそ、感性を働かせ、目的を考え出し、目的に応じた創造的な問題解決を行うことができる「人間の強み」が重要であり、AIやロボットにはできないこういった強みを伸ばしていくことがこれからの時代に求められる人材像であるとし、この人材像はこれからの教育課程が目指すものであるが、従来から学校教育が目指してきたものとも一致する。我々が「生きる力」と呼んできた①基礎基本を確実に身に付け、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、②自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、③たくましく生きるための健康や体力と重なっている、と述べています。これらを踏まえ改訂された学習指導要領の中で重要な部分の1つとして「言語能力」、「情報活用能力」、「問題発見・解決能力」等を学習の基盤となる資質・能力と位置付け、これらを育成できる教育課程を編成すると定めています。また、その基本的な方針は家庭や地域とも共有されるよう努めることも定められています。
さて、みなさんは、この学習の基盤である資質・能力についてどれぐらい共有できていますでしょうか。是非、身近な人と話をしてみてください。そして、新年に改めて学習指導要領の前文から総則部分だけでもいいので、読んでかみしめてみましょう。
教育家庭新聞 新春特別号 2024年1月1日号掲載