戦争直後の1946年5月、文部省は「新教育指針」を公にし、平和的文化国家の建設を目指して、重点施策の第1として「個性尊重の教育」を行うことを宣言しています。さらに、1985年に始まった臨時教育審議会が「個性重視の原則」を打ち出しています。にもかかわらず、いつの間にか、日本の教育は画一化し、規格化し、没個性化の道を歩できたのではないでしょうか。その結果、今や、だれの目にも、政治や経済の停滞がはっきり捉えられるようになり、学校教育の世界では、子供の数の減少にもかかわらず、いじめや不登校児が急速に増大しています。学校は子供たちの個性を育む楽しい学びの場であるべきです。教師たちの奮発に期待せざるを得ないのです。
教員不足や教員希望者の減少に象徴されるように、学校は当面する課題の対応に追われています。まさに、「理念なき混沌」と言ってよい状況です。「働き方改革」は一時的な手段にすぎません。当面する課題は山積しています。必要なことは、個性豊かな人間育成という視点からの学校教育の全面的改革です。ことに、ICTの時代に対応して、学校教育のあり方を抜本的に見直すべきです。
なお、本学会は中国と台湾にも会員がいて、夏に全国大会(本年は上智大学)を開き、春秋に学期研究会を持ち、個性化教育について研究してきています。
教育家庭新聞 新春特別号 2023年1月1日号掲載
