昨年は、2年間コロナ禍で休止を余儀なくされた協会のいくつかの事業が3年ぶりに復活できた年となり、対面の持つ意義をあらためて再確認いたしました。
さて、昨年実施の全国学力調査は4年ぶりに理科が入りましたが、結果は前回よりもかなり低い数値となりました。理由としては、これまでから一歩進み発展的な考えを導かせるもので、単に結果を問うのではなく、得られた結果から精度を高めるための実験の仕方や、測定値の見方を考えさせる設問になり、自ら考え、自ら判断する「主体的、対話的で深い学び」で理科の資質がどう育まれたかを問う、良問ともいえます。実験観察は知識を暗記する対象ではなく、実際に考える舞台を提供する器具だからです。
このように、実験観察は社会で実際に生じることを、理科室という場所で体験し、考えることができます。そのため、必ずどこの学校でも備えるべき品目が「最重点設備品目」として設定されました。実験観察だけはどこの小中学校でも実施できるようにと、学習指導要領の改訂に伴い基準が示されたのです。しかし私どもの調査ではまだまだ100%には程遠い充足状況であり、また使えない老朽化した観察実験機器も多く、せっかくの新たな学びの方向に水をさす、悲しい状況です。
全国すべての学校の理科室が科学に興味関心が深まる場になるよう、より一層理科教育の環境向上に鋭意努力していく所存です。本年もご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
教育家庭新聞 新春特別号 2023年1月1日号掲載