教育再生実行会議第十二次提言を踏まえ、当研究所に教育データサイエンスセンターが設置されて、1年3か月が経ちました。この間、当センターは、我が国の教育データ分析・研究、成果共有の拠点(ハブ)となることを目指し、教育データや取組共有のための基盤整備、教育データ分析・研究の推進、国や自治体における教育データ分析・研究の支援、を3本柱に取組を進めてきました。昨年10月には、滋賀大学との連携協定を締結しました。日本で初めてデータサイエンス学部を設立した同大学と、教育政策に関する総合的な研究機関である当研究所が、互いの強みを活かし、教育データサイエンスという新しい分野の推進に資する連携協力を行おうというものです。
11月には「学力アセスメントの動向と展望~CBT化に向けて~」と題したシンポジウムを主催し、全国学力・学習状況調査でも順次導入の方向が決まっているCBT(コンピュータ使用型調査)をめぐる動向などについて議論しました。本年には、国や自治体の教育分野の調査データや研究成果・取組事例を共有する「公教育データ・プラットフォーム」の試行版を運用開始予定であり、さらなる事業の推進を図って参ります。
我が国も参画する生徒の学習到達度調査(PISA)等を推進するOECDシュライヒャー教育スキル局長のモットーは「データがなければ、あなたは、ただの意見をもった1人の人にすぎない」です。データにより教育を見える化し、またデータによるEBPM(客観的な根拠に基づく政策立案)を推進するため、大学・研究機関や自治体、各地の教育研究所と連携を進め、教育データ利活用の未来を作っていきたいと思います。
教育家庭新聞 新春特別号 2023年1月1日号掲載