早いもので、私がGIGAスクール構想立ち上げを担当してから3年が経ちました。先生方を始め関係者のご尽力により、端末が従来の一斉講義型授業から子供たちの「主体的・対話的で深い学び」に確実に繋がってきています。いまや社会全体でデジタル化が急拡大する中、今後は教育でもデータ駆動が身近になっていくことと思います。
1人1台の端末活用を通じて蓄積される多種多様なデータは、データ科学の手法を使えば様々な発見が待っています。例えば従来の非認知能力の客観的な評価が可能となることで、受験対策でない、本来あるべき教育の姿も浮かび上がってくるかもしれません。
この新たな発見に向けては、教育学だけでなく哲学、心理学、社会学、さらには情報学、統計学といった多くの分野の研究者による共同研究への期待が高まります。
さらに、産学連携を通じた研究成果の学校現場での実装も進むでしょう。その際、企業では他業界との連携も含めたカスタマーサクセスの意識が必要になります。学校現場では、データに対する理解の上で従来の枠にとらわれない果敢な取組が鍵となります。
このため、企業や学校現場にもデータを理解し適切に活用できるデジタル人材が求められます。
これまで日本では、デジタル人材が圧倒的に不足していました。国では先の補正予算で、デジタル人材育成に向けた大学の大胆な機能強化や即戦力となる人材向けのリカレント教育を支援することとしました。これら新たなデジタル人材が産学や学校現場で教育DXを自律的、持続的に発展させていく社会も近いと思います。
本年も皆様とともに、新たな教育に向かって歩んで参ります。
教育家庭新聞 新春特別号 2023年1月1日号掲載