コロナ禍や激変する世界情勢により、高等教育政策も大きな転機を迎えています。そうした中で、特色を活かして多様な工夫をされている大学・高等専門学校関係者の皆様のご尽力に改めて敬意を表します。
中央教育審議会が平成30年に提言したいわゆるグランドデザイン答申では、高等教育を「知の共通基盤」として位置付け、「何を学び、身に付けることができるのか」を中軸に据えた「学修者本位の教育への転換」を打ち出しています。こうした方向性を踏まえ、昨年は大学設置基準の改正をはじめ質保証システムの見直しを行いましたが、本年も更なる取組を進めて参ります。
また、教育未来創造会議の第1次提言を踏まえ、デジタル・グリーンなどの成長分野をけん引する高度専門人材を育成するための基金を創設し、意欲ある大学・高等専門学校が成長分野への学部転換等の改革に踏み切れるよう支援を行って参ります。
意欲ある学生を支援するための奨学金などの修学支援については、修学支援新制度の中間所得層等への拡大やライフイベントに応じた柔軟な返還制度の創設に向けた検討を進めて参ります。
さらに、コロナ禍により激減している留学生交流を回復させるとともに、質の高い国際流動性・国際頭脳循環の実現を目指し、コロナ後のグローバル社会を見据えた人への投資のあり方について、教育未来創造会議と連携しつつ検討して参ります。
他方、我が国の研究力が相対的に低下している中、大学の研究力の強化を図るとともに、地域を担う人材の育成をはじめ教育面で様々な取組を進めている大学も含め、高等教育全体を俯瞰し、各大学・高等専門学校の強みや特色を伸ばしていけるよう環境整備に取り組みます。
教育家庭新聞 新春特別号 2023年1月1日号掲載