ポプラ社の『総合百科事典ポプラディア第三版』(全18巻・税込132,000円)が11月17日に発売され、18日には記者発表会が同社にて行われた。
『総合百科事典ポプラディア第三版』(以降、ポプラディア第三版)は全18巻(本編16巻・索引1巻・学習資料集1巻)。新規項目6500項目を加えた、総項目数31000項目を掲載する。改定前の『総合百科事典ポプラディア新訂版』(2011年1月刊行・全12巻・総項目数24500項目)と比べて大幅な増強となった。子供たちがより調べやすく工夫し、学校での活用を視野に入れた指導案やアクティビティ集を作成している。
『ポプラディア第三版』発刊前より発信されていたのは、「調べるって楽しいよ!」という、子供たちへのメッセージだ。
「子供の興味が芽生えても、放っておくと枯れてしまう。子供たちの“もっと知りたい”に応えたい」と千葉均社長。「百科事典は探究の旅の入り口であり、冒険の道しるべになる。『ポプラディア第三版』は、“調べることは楽しいんだ”!と感じられる仕掛けをたくさん用意している」と語る。
事前予約初月出荷は約12,600セット。学校単位で複数セット購入するケースが増えたり、通常の年間の図書購入費とは別途の予算どりをした自治体もあったという。各教科書でも掲載されており、学校ニーズが高まっている。
「総合百科事典ポプラディア」みんなの活用ナビ Hello!ポプラディア
https://kodomottolab.poplar.co.jp/hello-poplardia/
今回、子供たちへの調べやすさや、学校での活用のしやすさにもさらなる工夫を凝らしている。
まずは本の重さと厚み。1巻の重さは約1000グラムとなり、改訂前よりマイナス500グラムを実現。軽くて軽量で耐久性が高い用紙を採用し、1冊あたりの平均頁数を削減することで可能となった(本編約300頁)。低学年の子供でも安全に持ち運べるように配慮した。「立ち読みで調べられる」(同社・「総合百科事典ポプラディア」統括編集長・山口竜也氏)が可能な重さだ。
ページをめくってみる。
本文のフォントは、誰にでも読みやすいユニバーサルフォント「UDデジタル教科書体」を使用している。
またカラーユニバーサルデザインを採用することで、視覚多様性へ配慮している。
項目を探す際にまず、必要となるページの端の「つめ」は、段(あ段、い段、う段、え段、お段)ごとに色分けするなど、探しやすさにも力を入れている。
調べたい項目から、さらに探究を深めたり、好奇心を刺激する仕掛けも満載だ。
記者が注目したのは項目すべてにNDCが記されていること(最大3つ)。ポプラディアで見つけた項目から、NDCを頼りに、さらに図書館の書架へと導いてくれるのだ。
またポプラディアに別途掲載されている項目は青字で表記し(青字リンク)、「見よ項目」(とび先の項目の巻とページも表記)、「学習資料集」巻の掲載ページや、関連項目へのリンクなども表示している。
言うまでもないが、五十音順の百科事典であるため、調べたい項目と同じページには、他の分野のさまざまな項目が並び、思わず読みたくなってしまう。こうした「寄り道」は大きな魅力であり、探究の楽しさはここにも潜んでいる。
『ポプラディア第三版』の活用ツールも充実している。
先生・司書向けの「百科事典活用のための指導案」は、小学校中学年向け、高学年向け、中学生向けの授業案を用意。授業で使えるスライドもある。
子供や司書向けの「Let’s Enjoy!ポプラディア」は、小学校低学年~中学生までを対象とした、11のアクティビティを紹介している。使用するシートは「Hello!ポプラディア」サイトからPDFをダウンロード可能(https://kodomottolab.poplar.co.jp/hello-poplardia/download/)。百科事典活用の入り口に、また授業の導入に使える活動も紹介している。同サイトからは今後新たなシートもアップ予定だ。
10年ぶりの大改訂となった『総合百科事典ポプラディア第三版』。刊行の背景としては、『総合百科事典ポプラディア新訂版』の刊行から10年が経ち、学校図書館における百科事典の廃棄基準が10年であること、新学習指導要領への対応、2020東京オリンピックなど、国内外の主要イベントや情報の収録が挙げられる。
「とくにこの10年は、『ポプラディア』を学校現場で使われるようになり、信頼も厚くなり、要望も高まった10年だった」と山口氏は語る。かつて学校現場からは“(ポプラディアを)使わせたいが、どのように使い方を教えたらいいのかわからない”といった声が寄せられることもあったという。そのため、2002年の『総合百科事典ポプラディア』の刊行以来、同社では出張授業や研修会を年間100回以上行ってきた。
また2018年より、ポプラディア活用プログラム「ひらけ!知のトビラ」として、ティーチャーズガイドや「ハテナシート」(ワークシート)を制作・提供もしている。
『ポプラディア第三版』刊行にあたり、学校現場や公共図書館の教員や司書の意見も取り入れた。1巻の重さを軽量化したことや、通称「ランドセル項目」とされる、子供たちにとって身近な言葉も採用。「鬼滅の刃」などの新語も掲載している。