全国土地改良事業団体連合会(全国水土里ネット)は、絵を描くことを通じて、子供たちに農業や農村の重要性に気づいてもらう目的で、小学生以下を対象に「未来へつなごう!ふるさとの水土里(みどり)子ども絵画展」を2000年から実施。26回目となる作品募集を6月初旬から開始する。絵画展を開催する目的などについて、審査員を務める全国水土里ネット・土地改良広報センター所長の牧千瑞氏に聞いた。
前回の文部科学大臣賞受賞作品
-主催者である全国水土里ネットとは、どのような活動を行う団体ですか
全国に存在する約4200の土地改良区では、農業用水や農業用の排水路・用水路など農業の基盤を支える部分の保全・管理などに取り組んでいます。また、各都道府県には1つずつ土地改良事業団体連合会が存在します。全国水土里ネットは、全国にあるこれらの組織への技術的な支援や必要な調査・研究活動を実施し、取組を多くの人に知ってもらうための広報活動も行っています。
-絵画展はどのような目的で実施していますか
絵画展のねらいは、子供たちに農業や農村、田んぼや畑、農作物などに興味を持ってもらい、絵を描くことを通して農業や農村への理解を深めてもらうことにあります。そして、子供たちの作品を通じて大人も田んぼや畑のある風景に親しんでいただけたらと思います。
応募作品は田んぼや畑などの風景画に留まらず、みんなでおむすびを食べているところや地域に根差した祭りを描いたものなど多岐にわたります。そうした幅広い観点から農業や農村の良さを知っていただきたいと思います。
-応募にあたり学校で行っている取組はありますか
農業用水路を維持管理している土地改良区という団体が小学校への出前授業を実施して、お米を育てるために水路が果たす役割を、紙芝居などを使って子供たちに説明します。こうした出前授業を通じて、農業への理解を深めた後、図工の時間に応募する絵を描くという取組が行われています。
また、応募作品の約7割が土地改良区や土地改良事業団体連合会が窓口となり、とりまとめる団体応募です。幼稚園や小学校が近くの土地改良区を通じて応募することで、地域団体賞として土地改良区理事長賞を独自に設けるなど新たなつながりが生まれます。
土地改良区が熱心に活動している都道府県からは、毎年、多くの作品が寄せられます。
また学校や絵画教室が作品をまとめて応募するほか、個人からの一般応募も広く受け付けています。不明な点などあれば全国水土里ネットまで、お問い合わせください。
-どのような賞が設けられていますか
初めに事前審査を行い、本審査の対象となる作品を選定します。その後、一次審査、二次審査を経て各賞が決定します。賞は大臣賞など6作品をはじめ、協賛企業・団体賞、地域団体賞、入選、佳作など約400作品が選ばれます。入賞作品は12月に東京都美術館で展示されるので、楽しみにしてください。
審査会風景(手前が牧所長)
<応募要項>
応募資格=小学生以下
応募期間=2025年6月初旬~9月初旬
応募規定=①用紙は四つ切り画用紙サイズ(38㌢×54㌢)、②絵の対象は「田んぼや畑」「農業用水路」「農業用ため池」などの風景や、大切な水路を守っている人たち、農業に関する祭りや風習など農業や農村に関するもの、③応募作品は未発表のものに限る、④学校や絵画教室など団体でまとめて応募する場合は応募者一覧表として必要事項を明記し、絵画を送る際に同封する、⑤応募用紙は2025年度のものを使用、⑥応募した時点から応募作品の使用権は主催者に帰属する、⑦応募用紙に記入した個人情報は個人情報保護法に基づき厳重に管理される。
※詳細は5月頃、全国水土里ネットWebサイトで公開予定。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2025年2月17日号掲載