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早期の消費者教育で安全等の選択眼養う~「消費者教育フェスタin埼玉」会場とオンラインのハイブリッドで12/10日に開催

2025年1月5日

‘18歳成人に向けた幼少期からの消費者教育’をテーマに、埼玉県川口市のSKIPシティで「消費者教育フェスタ㏌埼玉」が12月10日に会場とオンラインのハイブリッドで開催された(主催:文科省、共催:埼玉県、川口市)。体験をキーワードに消費者教育のあり方について基調講演や実践報告、グループディスカッションなどが行われたほか、約30の企業・団体がブース出展し参加者と交流。また1月31日には熊本市で消費者教育フェスタが開催される。

早期の消費者教育の重要性を語る講師・汐見氏


基調講演

当日は「子どもの主体性を引き出す学び~幼少期からの消費者主権を目指して~」をテーマに東京大学名誉教授の汐見稔幸氏が基調講演、以下は講演の要旨。

流通システムが発展し、商品の種類が増えると消費者は値段ばかり気にして、商品の質や価値に関心を向けなくなる。また、海外から運ばれてくる食品は防腐剤の使用も多くなり、その安全性にも目を向ける必要がある。そのため安全で価値のあるものを選ぶ消費者教育がより重要になってくる。

小学校教育の実践家である鈴木正気氏が1978年に書いた「川口港から外港へ-小学校社会科教育の創造」を紹介。そこには漁港として栄えた茨城県・久慈の発展について社会科の授業で小学生が調べた様子が記されている。子供たちは町中を調べた結果、住人の生活が苦しくなり公害問題も発生するなど問題点が見えてきたことから、久慈の町は発展していないという結論に達した。

こうした実践では調べた結果だけでなく、そこに至るまでのプロセスにおいて、モノづくりに関わる人が見えてくることが大事。知識として消費者教育を知っているだけでなく、体験を通じて初めて自分の感覚として身につけることができる。

茨城県水戸市の「わかな保育園」では園児が有機栽培での野菜づくりを手伝い、給食として食べることで生産者の顔が見える消費者教育につなげている。畑に肥料の代わりとしてウッドチップを入れ、土壌を柔らかくしてから野菜を植えるが、こうした活動を通じて園児は自分が食べる野菜が苦労して育てられていることを知る。

またわかな保育園では「マイお茶碗」という絵付け体験も行っており、毎日の食事を自分が作ったお茶碗で食べることでモノづくりの大切さを学んでいる。「モノを作る過程で試行錯誤し、生産過程を学ぶことで消費者としての正しい姿勢が身につく」と早期の消費者教育の重要性を語った。


実践発表

「体験型のお金の学び」をテーマに、子どものお金教育を考える会代表のあんびるえつこ氏が実践発表。あんびる氏は、子供が金銭感覚を身につけるには「ルールを守ることを教える」のが大事とする。子供がおねだりする際にも決まりごとを設け、ルールを守らせるという。「欲望をコントロールし、意思決定することを教える」ことも求められる。買い物ごっこなどを通じて、お金には限りがありことを教える必要があると指摘した。

タイ(10アンピル)、エビ(2アンピル)、サンマ(1アンピル)の絵をホワイトボードに貼り付け、参加者が10秒でどちらが高い金額になるかを競い合った。このゲームを通じて、モノがあると競争が発生し、資源には限りがあり、希少価値が高いほど早く無くなることなどを学んだ。

利益のみを優先して消費していけば地球の資源も枯渇する。そうならないためにも地球全体を考え人や環境に配慮した消費を進める「エシカル消費」、環境・社会・ガバナンス投資も考慮した「サスティナブルファイナンス」など消費面や金融面からのアプローチで問題解決が求められる。

あんびる氏は「大事なのは色々なモノの見方や価値観を伝えること」と定義。幼い頃から身近な遊びや生活を通じて、自分なりの価値観をもつことや「今あるもの」を活かす知恵を身につけることが大事と語った。


グループディスカッション

グループディスカッションでは「幼少期から始める消費者教育には、どんなことが必要だと思うか」をテーマに、参加者が4~5人ずつグループに分かれて話し合った。メインファシリテーターは独国立女性教育会館理事長の荻原なつ子氏。

基調講演や実践報告を聞いて思いついたことを意見交換。個人が出したアイデアをグループ内で共有。「子供の欲望をコントロールするため、大人のマネジメントが必要」、「普段の買い物など身近なところから消費者教育を始める」などの意見が上がった。最後に話し合った結果をもとに各グループで消費者教育川柳を発表。「買う前に今あるものを見直して」、「背景に作った人を忘れない」、「消費者の価値観つくる実体験」などの川柳が紹介された。

 

埼玉県生活科学センター「彩の国くらしプラザ」

 

教育家庭新聞2025年1月1日号掲載

 

 

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