2024年度 第17回高橋松之助記念「朝の読書大賞」「文字・活字文化推進大賞」の受賞者が決定し、11月1日、東京・千代田区の出版クラブビルで贈呈式が開催された。式典では授賞理由の紹介をはじめ、受賞者挨拶として実際の取組のようすなどが語られた。なお県立図書館が文字・活字文化推進大賞を受賞したのは今回が初めて。
▽大江学園 福知山市立大江小学校・大江中学校:福知山市内の3小学校を統合した大江小学校と、大江中学校との小中一貫校として2021年に開校。朝の読書は統合前から各学校で実施し、通算で約20年間継続。「学校図書館教育年間指導計画」では綿密な計画が作成され、9年間を通じた体系的読書指導が行われている。学校司書と図書委員等による特設コーナーや多彩なフェア、国語科での実践などさまざまな取組が行われ、年間読書冊数は1人あたり平均60冊。これまでの受賞校の中でも屈指という。
▽㈻開成学園 大宮開成中学校:2005年の開校以来、朝の読書を毎日20分間という稀有な取組を継続している。自由読書のほか、学年によってテーマを設定したり、読書の苦手な生徒に電子書籍の取り付きやすい新書や古典の漫画版を薦めるなど工夫も。図書委員の活動も活発だ。読書の幅を広げ、思考を鍛えたり、教養を深めるための読書推進活動を全校的に行っている。
▽愛知県立豊橋南高等学校:2006年から18年余にわたり朝の読書を継続している。図書委員をはじめとする生徒の自主的な活動と地域との連携も活発に行われている。毎年12月には図書館フェスティバルと称し、生徒作成のPOP、先生のおすすめ本、ブックサンタなど多彩なイベントを展開している。「全ての教職員の理解があること、強制せず、テスト前には朝読の時間にテスト勉強する生徒がいるといった、寛容さも長続きする秘訣」(有賀洋之校長)。
▽鳥取県立図書館:1990年の開館当初から地元書店との共存を重視。地元書店からの図書購入を原則とする「鳥取方式」を実践し、電子図書館も地元書店を通じた契約としている。書店と連携したさまざまな活動を展開。事務局を務める鳥取県図書館協会では「本、書店、図書館にまつわるエピソード大賞」を鳥取県書店商業組合と共催で実施するなどしている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年11月18日号掲載