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図書館

開催地・香川県の実践から~小学校や中学校が特色ある取組を発表

2024年9月25日
秋の学校図書館特集

23が60読書運動

 

大会開催地である香川県の研究発表は、小・中・高等学校、特別支援学校、学校司書による取組、図書委員会活動などの研究発表・討議が行われた。

香川県は、家族で読書に親しむ「23(にさん)が60(ろくまる)読書運動」を推進している。子ども読書の日(4月23日)にちなみ、毎月23日を含む1週間に家族で一緒に読書をした時間の合計60分以上を目標とするもので、県内で浸透している取組だ。

また2021年度から2025年度までの第4期「香川県教育基本計画」を策定、この計画に基づいた読書活動として、小・中学校の一斉読書や読み聞かせ、推薦図書「香川の子どもたちに読んで欲しい100冊」の選定と改定などを進めている。県独自の取組を活かした、地区ごとのバラエティ豊かな実践が報告された。

小学校の研究発表・討議~児童主体の委員会活動で全校の読書意欲を高める

高松市立浅野小学校では学校図書館の「読書センター」「学習センター」「情報センター」の機能を児童と共有し、委員会活動で課題を見つけ、解決に向け取り組んだ

高松市立浅野小学校は「子どもが育つ学校図書館~オピニオンリ-ダーを中心とした図書館づくり」として、委員会活動を紹介した。

学校図書館の「読書センター」「学習センター」「情報センター」の3つの機能を児童と共有し、特に「学習センター」「情報センター」としての機能向上を目指した。

図書委員会「本ならおまかせ委員会」がオピニオンリーダーとして活動。読書週間の企画を考える前に、まず学校図書館の現状や課題、さらに課題解決の方法を読書週間の活動に活かした催しを行った。読書週間終了後の振り返りで得た気づきをさらに「本かるた」の作成につなげた。子供の発案を具現化することで、児童全体の読書の意欲化や継続的な図書館利用につながったという。

会場からは「委員会活動の時間の確保はどのように行っているのか」といった質問があった。委員会活動は主に、学校図書館の当番がある昼休みの常時活動の中で行い、放課後に残って活動することはないという。また月1回の委員会では、担当する教職員3名でその日に取り組むことを事前に絞り、児童が主体的に活動できるような問いかけを考えておくことで、委員会活動に効率よく取り組めている。

各校の取組の共有でマンネリ化も解消

さぬき・東かがわ支部各小学校のイメージキャラクター。しおりや、新入生用のチャーム、卒業制作の読書バッグなどにも使われる

香川県小学校教育研究会 さぬき・東かがわ支部学校図書館部会では、10校がそれぞれ特色のある取組を行い、情報共有することで、さらに豊かな実践に結びつけている。

同部会の2023・2024年度の研究主題「自ら学ぶ力と豊かな人間性を育む学校図書館」における重点内容3つを紹介した。発表者はさぬき市立寒川小学校、東かがわ市立引田小学校。

①行きたくなる・本を手に取りたくなる学校図書館の豊かな環境づくり…配架や展示などにさまざまな工夫が凝らされている。図書館の窓に月ごとのテーマで本を展示し、廊下を通る児童に本が見えるようにしたり、本の展示も「春のパンの本まつり」「むし歯予防デー」「よく借りられる本コーナー」「貸出ゼロの本コーナー」など各校で工夫を凝らしている。また、本を立体的に展示する「おすすめの本ツリー」、先生や図書委員のおすすめの本コーナー、課題図書1冊1冊を丁寧に紹介し展示する学校もある。

「読書テーマのイメージマップ」(長尾小学校)は、月ごとのテーマ(例:11月は食べ物)を中心に、そこから派生するイメージ<例:レストラン・お弁当・給食・マナー・くだもの・いのち…等々>の言葉を黒板に掲示。さらにそれぞれの言葉に関連した本を特設コーナーに集約している。

寒川小学校では、学校図書館を情報発信の場として有効活用するため、テーブルに子ども新聞を並べて掲示。掲示を終えた新聞は、切り分けて見出しを付けて整理し「きじ森」コーナーへ。子供たちは好きな記事を持ち帰り、自主勉強に使うなど自由に活用している。

寒川小学校や津田小学校では「香川の子どもたちに贈る100冊」を児童が借りやすいようにまとめて置く。対象学年がわかるはんこを押したカードを本の表紙に貼っている

②望ましい読書習慣の形成を図るための工夫…子供たちが自分で読書目標を立てる取組も各校で行っている。1、2年生であれば10級・80冊、9級100冊といったように、本の冊数や読むページ数で級を設けている。それを参考に教員の助言を受けながら個人目標を立てて取り組む。月ごとにスモールステップの目標を設定したり、「読書すごろく」を活用するなど意欲を喚起。目標を達成すると年度末に認定証を発行したり、表彰状の授与など各校で行っている。

読書へ誘う読書週間の取組も。さぬき北小学校の「おすすめの本の木」は、『どうぞのいす』をイメージし、誰かが置いているおすすめの本を借りる代わりに、自分のおすすめの本を置いていくシステム。他にも、図書委員会が活躍するクイズラリーなどのイベント(大内小学校)、「ミッションインライブラリー」(寒川小)、「読書クエスト」(造田小学校)、「よみぐすり」(寒川小学校)、「読書ビンゴ」(志度小学校)など、児童が興味を持って楽しめる取組が行われている。

読み聞かせの取組の1つとして白鳥小学校では、小中一貫校の良さを生かし、中学生が小学生に読み聞かせを行っている。中学生が各学年の発達に応じた本を選ぶことは、相手意識を持つことにもつながった。

また③家庭・地域との連携として、公共図書館と連携したイベント「GO TO トショカン」ほかさまざまな取組が行われている。

バラエティに富んだ数多くの実践は、各校で司書教諭を中心に取り組んでおり、年数回行われる図書館部の集まりで互いの取組を紹介し合う。これは各校の実践のマンネリ化の解消にもつながっているという

各校種で研究発表・討議

中学校は「学校司書が活躍する学校図書館」として丸亀市立南中学校、「図書資料とICTを活用した情報活用学習」として高松市立牟礼中学校・香川県立高松北中学校、高等学校は「全校生徒で作る私たちの本棚-図書委員の活動、授業での活動」香川県立高松高等学校、「生徒と取組むマーケティング理論を用いた図書館経営」香川県立高松南高等学校、「視覚に障害のある幼児児童生徒への読書活動の推進について」は香川県立視覚支援学校が発表した。またオンデマンド配信でも、小・中学校の研究発表、香川県の図書館訪問ドラマなどが配信された。

 

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年9月23日号掲載

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