「グローバル化」への対応が求められる中、政府は高等教育でEMIプログラム(母語が英語でない地域で英語を使って教えるプログラム)の設置を進めている。
しかし卒業生の中に、母語である日本語に不安を覚える人が現れている。本書ではEMI卒業生4人にインタビューを行い、EMIプログラムが学生たちにもたらした苦悩を明らかにする。
モノリンガル環境で育った‘純ジャパ’にとって、高校生の時は英語が得意であっても、EMI実施学部に入学後、留学生や帰国子女がいる教室では、求められる英語のレベルは想像以上に高く、大きなショックを受ける。卒業後は就職先で日本語が‘何か変’と言われてしまう。卒業生は自らの日本語に不安を感じたり、さらには企業風土にも幻滅してしまう。これに対し、自らもEMI卒業生である著者はEMI実施学部へ、ビジネス日本語教育や企業インターンの推奨などを提言する。
第Ⅱ部では、指導教員が解説。複数言語話者の葛藤をコントロールする方法を考える。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年9月23日号掲載