今年6月に各賞の受賞校(実践)が発表された「第4回情報活用授業コンクール」(主催=公社・全国学校図書館協議会)の表彰式と受賞者発表会が、8月28日、東京・千代田区のキハラ㈱で開催された。
児童生徒の情報活用能力を身につける授業実践のすそ野を広げることを目的とする同コンクール。4回目を迎えた今回、初めて文部科学省の後援を受けた。また新たに”今後の活動を期待できる実践”を対象とする「奨励賞」を設けた。
過去3年間以内の単元の授業実践を募集。今回は、小学校9件、中学校(含特別支援学級)34件、高等学校4件の計47件の応募があり、優秀賞7件、奨励賞11件、情報活用推進校2校、キハラ賞1校が選ばれた。(受賞した実践・受賞校の詳細は全国SLAのHP=https://www.j-sla.or.jp/contest/jouhoukatsuyoujugyou-top.html本紙紙面は7月15日号)
寄せられた実践は、前回と比較し、多くの教員が関わった事例や、多教科が連携した事例が多く見られた。また全校で協力体制を整えたり、教科横断型等々、実践の広がりや深まりが感じられるものだったという。
受賞者発表会では、優秀賞・キハラ賞を受賞した甘楽町立福島小学校(群馬県)、優秀校・情報活用推進校を受賞した㈻鶏鳴学園 青翔開智中学校・高等学校(鳥取県)、神戸市立小部中学校(兵庫県)が登壇した。
発表の1つ、青翔開智中学校・高等学校では、「中学理科における探究的な学びと図書館・博学連携~単元『進化』『宇宙』を題材に~」として、中学校3年理科の2つの単元の実践を紹介した。
校舎の中心に図書資料、新聞、雑誌などが揃った空間「ラーニングセンター」を据え、デジタルとアナログの情報活用を行っている。校内の随所に書架が設置され、コンセプトは”図書館の中に学校がある”。
継続的な「探究スキルラーニング(総合的な学習)」を基礎的な学習スタイルとして位置付け、各教科のねらいと同時に情報活用能力のためのねらいを明確に設定し、実践を進めている。
単元「生物の種類の多様性と進化」では、生徒に「博物館の学芸員となって、企画展『進化を探る』内でブースを1つ担当し、来場者に説明してください」と興味の湧く設定を示し、生徒自身が問いをたて、ポスター発表までに取り組んだ。
発表した理科の兼重堅志郎教諭は、司書教諭・学校司書との事前打ち合わせや、問いの立て方の指導、鳥取県立博物館の学芸員との打ち合わせ、生徒の事前学習への取組、学芸員との対話、情報カードの活用、生徒たちの発表などを紹介した。兼重教諭は「教員の役割は、教育リソース(博物館の資料や専門知識、学芸員、本や論文、司書)と生徒をつなぐこと」と話す。
なお同校からは、複数の教科でコンクールに応募。各教科から応募したきっかけは、横井麻衣子学校司書による働きかけだったという。英語科の三浦永理司書教諭も奨励賞を受賞するなどしている。
次回第5回コンクールの応募要項は全国SLAのHPで公開中。募集期間は2025年2月1日~4月5日
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年9月23日号掲載