各地域、各校独自の「体系表」を作る際に参照できる、学校図書館活用と情報科の内容を網羅し、標準的な指導内容をまとめたものとして、全国SLAでは「情報資源を活用する学びの指導体系表」を作成している。分科会「国語科教科書に見る情報活用能力の育成指導」では、この全国SLAによる2019年版「体系表」について、国語科の教科書との関わりを探る取組について紹介した。講師の佐藤敬子氏は、全国SLA学校図書館スーパーバイザー、北海道学校図書館協会理事、NPO法人学校図書館実践活動研究会理事、北海道教育大学札幌校非常勤講師、認定こども園聖ミカエル幼稚園「絵本の部屋」非常勤職員。
北海道SLAでは毎年1月に研修会を実施している。佐藤氏の講座では例年「情報リテラシー」をテーマとし、第55回(2023年)と56回(2024年)は、全国SLA「体系表」(2019年版)と国語科の教科書との関わりを探った。
第55回では参加者が持ち寄った教科書を読みこみ、体系表の要素を拾っていった。教科書と体系表を照らし合わせ、教科書の記述と体系表の項目との関わりについて吟味。その結果参加者の皆が「こんなに(体系表の要素が)あるとは!」と驚いたという。
光村図書出版の小学校1年生から中学校3年生までの教科書で検討した。例えば小学校1年生(上)18頁の題材「こんなものみつけたよ」は、‘絵を見てみつけたものをみんなに知らせる’要素がある。これは体系表の「Ⅳまとめと情報発信 学習したことを発表する(口頭)」に該当する。
第56回では前年度のまとめを基に、学年毎の計画化を検討する中で、いくつかの柱となる重要な指導要素として次の5つが見えてきたという。①いわゆる「学校図書館(等)の利用法」の指導 ②主に説明的文章における指導 ③その他の分野での指導 ④著作権の指導 ⑤ICTの活用指導。
特に「情報リテラシー」を身につけるには、②説明文が非常に重要になってくるという。説明文は小学校1年生から国語の教科書に掲載され、学年ごとに難しくなり、繰り返し指導していく。
「『情報リテラシー』と言った時、情報収集、情報の分析、という言葉を使うが、情報を集めただけではなく、実際に子供が、きちんとその内容を理解していることが大事だ。要点や要約の仕方を嘘がなくきちんとまとめ、正確に把握する。表やグラフの読み取り方も含まれる」と佐藤氏は語る。
また③その他の事項では、友達へのインタビュー、プレゼンテーション、「書く」ことも作文だけでなくポスターやパンフレット、レポートを作ること、複数の新聞を比較する、ウェビング等の思考ツールも小学校から取り扱う。④著作権では、本の奥付を見ることが第一歩。インターネットの情報は閲覧した日付を書く。低学年であっても、必要なことはきちんと指導することが大事だ。
国語科の中に情報リテラシーの育成指導が以前よりも多くちりばめられるようになった。一時期「総合的な学習の時間」で扱うことが多かったが、今は国語科の中に多く入っている。国語科の教科書のこれらの単元の文章をただ読むだけで終わり、ということではなく、指導者が意識的・計画的に実践していくことが重要であり、「体験を伴い、繰り返され、身体的な記憶に残るものにしなければならない」「そのためには、他教科も含めた校内の全体計画の立案とその実践が大切であり、その中心となるのが司書教諭」と話す。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年9月23日号掲載