(公社)全国学校図書館協議会(以下、全国SLA)は学校図書館の日を記念して設けられた第54回「学校図書館賞」ならびに第26回「学校図書館出版賞」の表彰式を8月1日、都内で開催した。学校図書館賞1点、学校図書館賞奨励賞1点、学校図書館出版賞3点が表彰された。
学校図書館賞は学校図書館の振興に著しい業績を示した団体に贈られる。学校図書館賞は「運動の部」において鈴木嘉弘氏の「静岡県下における学校図書館の整備充実・利活用の道づくり」が受賞した。なお学校図書館大賞の該当はなし。
現在94歳である鈴木氏は高校教員として赴任した1953年から現在にいたるまで、学校図書館の推進に向けて取り組んできた。高校では図書館資料を活用した発表形式の授業などを展開。また、県教育委員会の指導主事や県立図書館館長としても学校図書館の意義・役割を説き続けた。退職後も「掛川市子どもの読書活動を考える会」の設立や日本学校図書館学会静岡支部の結成に関わり、先導的な役割を果たすなど静岡県の学校図書館活動に進化をもたらしたことが認められての受賞となった。
学校図書館賞奨励賞は「実践の部」において東京大学教育学部附属中等教育学校の「学校司書と司書教諭の協働による中等教育学校の図書館運営」が受賞した。
同校では総合的な学習などにおいて探究的で協働的な学びのスタイルをとるなどして積極的に学校図書館を活用。司書教諭と学校司書が連携して生徒の学びや教員の授業準備を全力で支えている。学校司書の働き方改革も進んでおり、非常勤職員という扱いから正規化するなど活性化した状態を維持している。
学校図書館出版賞は学校図書館向き図書を出版企画した出版社を顕彰するもの。学校図書館出版賞大賞の該当はなし。学校図書館出版賞は以下の3社が受賞した。
岩崎書店の『虫のからだ 全5巻』(新開孝/写真・文)は、羽、口、触覚などユニークなシリーズ構成。最大の特徴は子供たちの興味を引き付ける昆虫の写真で、身近な昆虫の体の仕組みと生態を楽しみながら学ぶことができる。
さ・え・ら書房の『ニッポン環境問題史 全4巻』(加藤三郎/監修)は環境問題について時代別にまとめたシリーズ。図版、絵、写真など細部に至るまで子供への配慮が行き届いている。
ゆまに書房の『ビジュアル日本の音楽の歴史 全3巻』(徳丸吉彦ほか/著、徳丸吉彦/監修)は資料的価値が高い図版や写真を数多く使用。日本人が古代から現代に至るまで音楽を享受してきた様子をあらゆる切り口で紹介している。
教育家庭新聞 夏休み特別号2024年8月12日号掲載