発達障害者や発達障害児に関わる文脈で、ニューロダイバーシティ(脳の多様性)という言葉が使われるようになった。代表的論者の一人、ジュディ・シンガーは、発達障害者と発達障害児のために「ニューロマイノリティ」(神経少数者)という名称を提言。本書はニューロマイノリティとして生きている子供たち、いわゆる「発達障害児」の体験世界を「内側から理解する」視点で、多様な著者が多角的に描き出す。
ニューロマイノリティの保育と教育についての基本的な考え方を示す第Ⅰ部「支援者の常識を変えることから」をはじめ、第Ⅱ部「ニューロマイノリティの体験世界」、第Ⅲ部「隣人たちのまなざし」、第Ⅳ部「ニューロマイノリティを論じる」の4部・全10章で構成。編著者は京都府立大学文学部准教授の横道誠、社会福祉法人東香会理事で保育士の青山誠、執筆者に村中直人、すぷりんと、柏淳、内藤えん、繁信あづさ、志岐靖彦、汐見稔幸、小川公代(敬称略)。専門家と当事者が協働し、専門知と経験知から新しい知の地平を拓こうとする一冊。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年7月15日号掲載