道路に降りる階段の数、シンクで洗うお皿の数。数をかぞえるのが好きな女の子は、やがて数学を研究する仕事に就き、マーキュリー計画をはじめ宇宙計画に携わっていく--。
黒人女性の数学者、キャサリン・ジョンソンについて、幼少期からNASAでの活躍までを描く伝記絵本。1918年にアメリカで生まれたキャサリンは、成績優秀で10歳の時にはハイスクール(通常14歳から学ぶ)に入学できるほどだったという。当時は白人と黒人が行く学校が分かれていたため、一家は黒人のハイスクールがある町へ引っ越す。黒人差別も女性差別も残る時代に、楽しいこと、好きなことに真っすぐに向かっていくキャサリンの生き方を描く。
キャサリンが自身の努力と家族や周囲の協力によって、好きな仕事に就き、みんなの宇宙への夢を叶え、またアポロ13号の危機に際し、飛行コースを必死で計算し、地球に帰還させる手に汗握る展開も、実際にあった出来事。理数系分野でジェンダーバイアスが課題とされる現代も、勇気と希望を与えてくれる。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年6月17日号掲載