神戸市小学校の教員として勤務した鹿島氏が担任した子供たちと交わした日記帳「あのね帳」に紡ぎ出された、54篇の子供たちのつぶやきをセレクト。長い詩、短い詩、思わず笑ってしまったり、胸をうつ作品もある。
「こどもはいつかおとなになるのでしょう/おとなはむかしこどもだったんでしょう/みんな/そのときのきもちを/たいせつにしてもらいたいなあ」「おとうさんは/こめややのに/あさ パンをたべる」…子供たちの言葉はみずみずしくシンプルで、その時期しか感じ得ない思いに満ちている。読む人は多くのものを受け取るはずだ。
ヨシタケ氏が作品それぞれに絵を添えており、見開きで一篇。ヨシタケ氏の絵は「時に近くで一緒に笑い、時にそっと一緒に泣いている(中略)まるでもうひとりのクラスメートのように感じます」(編集者コメントより)。
昨春逝去した鹿島氏は、「多弁な子からも緘黙の子からも、伝えたいことを引き出した」(同)という。「あのね帳」の実践は、今も多くの学校で続けられている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年3月18日号掲載