童謡『ぞうさん』ほか数多くの作品で知られる、まど・みちおの詩を絵本化。詩人の思いと、躍動感あふれる画家の絵が奏でるシリーズ。
1975年に発表された詩『水はうたいます』は、身のまわりにある「水」という存在に「永遠」を見出して生まれた。まど・みちおは「『永遠』というものを言おうとしたとき、どう言えば『永遠』が言えるのか」「どう言っても、どう書いても、言わないこととおなじようなものかもしれないんだけれども…、それでも、言ってみたいと思うんです」と言う。
絵本の中で、水は形を変えながら歌う。海になる日のびょうびょう、雲になる日のゆうゆう、雨になる日のざんざか、虹になる日のやっほー。
常にやさしい言葉で世界の不思議を表している。編集者の松井素子氏は「すぐそばにある何気ないものに、まどさんは驚き続ける人でした。なんどでも世界を発見しなおす人でした」と語る。
2024年2月は、まど・みちお没後10年となる。絵筆の動きを味わいながら、まるで音楽のような詩を体験できる。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年2月19日号掲載