「令和5年度度学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム公開シンポジウム」が1月28日にオンラインで開催された。
本コンソーシアムは、文部科学省委託事業として、学校図書館等を活用して、アクセシブルな書籍や教材が広く共有され、読むことに困難のある児童生徒の読書活動が豊かになることを目指している事業で、2021年度よりスタート。今年度で3年目となる。文部科学省の施策や、読書バリアフリーの先進的な取組、パネリストによる質疑応答、特別支援学校等を対象としたアンケート調査の速報も紹介した。
2023年度からの「第五次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」では、「第2章基本的方針」の中で、「1不読率の低減」に次いで重要なこととして「2多様な子どもたちの読書機会の確保」が挙げている。
文部科学省 総合教育政策局地域学習推進課 図書館・学校図書館振興室長の朝倉博美氏は、読書バリアフリー基本計画や、学校図書館ガイドラインについても解説。学校図書館における取組事例は、文科省のHPからもアクセスできる。▽島根県安来市立荒島小学校…読みに困難を抱える児童に読書機会を~国立国会図書館「視覚障害者等用データ送信サービス」導入~(https://www.mext.go.jp/content/20230607-mxt_chisui02-000008064_1.pdf)
▽富山県立富山視覚総合支援学校ほか3校(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/dokusho/link/mext_00768.html)
島根県県安来市立荒島小学校・井上賞子教諭は、通常学校で国立国会図書館「視覚障害者等用データ送信サービス」を導入。GIGA端末も活用し、読みに困難のある児童の読書活動を支援する。「すらすら読めない」状況は、読書の負荷を高くし、語彙の獲得経験の少なさなどから、本来問題がなかった「理解」にも大きく影響する、と語る。
オーディオブックの導入やリーディングトラッカーの活用など、児童一人ひとりの読書環境を整える取組と、それを継続させるにあたっての課題について解説した。
京都府南丹市八木東小学校・髙橋あゆみ教諭は、京都府総合教育センター特別支援教育部プロジェクト研究に参加。通常学級における単元テストの電子化を学校図書館が担った。読みに困難のある児童が、自分に適している電子化した単元テストに取り組んだ。教材のデジタル化にあたっての仕組み作り、児童のアセスメントの重要性や、個別最適化への期待について紹介した。
マルチメディアデイジー…デイジー(DAISY)とは、読むことに困難がある人たちのためのアクセシブルな図書の国際規格のこと。文字・音声・画像を同時に再生できる録音図書。文字の大きさ・色・行間などを変更することができる。
著作権法第37条3項のもと、下記3団体ではマルチメディアデイジー図書を提供。
それぞれ特色あるコンテンツのラインナップ、提供方法となっている
読書バリアフリーコンソーシアム事業は、組織の枠を越えた関係者間の連携体制を構築することを目的とする。委託先=東京大学先端科学技術研究センター(2021・22・23年度)、筑波技術大学(23年度)、鳥取県教育委員会、佐賀県(いずれも21年度)。
https://accessreading.org/conso/
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年2月19日号掲載