現役の小学校の学校栄養士である著者が、子供たちに向けて、学校栄養士の仕事の魅力や学校給食への想い、給食と社会のつながりについて綴ったノンフィクション。
食材のうま味を引き出すためにさまざまな塩を試したり、自宅に業務用オーブンを置いて、試作を繰り返したり。そんな`熱血’栄養士の著者は、実は小学生時代は好き嫌いが多く、給食もなかなか食べられなかったという。そこからなぜ学校栄養士になったのか。
栄養士を目指すも男子が入学できる大学や短期大学が少なかったり、採用された学校でも男性の栄養士だからと当初は馴染めなかったり。厳しい中でも工夫したり、周囲に励まされ、前向きに取り組んでいく。そして東京都食材から端を発した「全国学校給食甲子園」への挑戦。2013年に見事優勝を果たすまでのエピソードは読者の胸を熱くする。
自分の分の食事や給食は、頑張って一口でも食べてみて欲しい。「食べ物には、きみの人生を豊かにしてくれる栄養がつまっています」と語りかける。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年8月21日号掲載