障害のある子供の教育において「大切にしなければならないこと」は、1つ目は学校現場における障害のある子供の「理解」。障害種別や障害特性、心理検査の結果などは子供の理解を進める視点の1つにはなるが、教育実践に取り組む上では「教師が子供とのかかわりを通して捉える、一人ひとりのこころ(内面)のあり様」が重要だ。2つ目は「授業づくり」、そして3つ目は障害のある子供の集団について。子供の実態などにより個別的な学習が中心となる場合もあるが、「紆余曲折や個々の葛藤状態を含みつつ、集団によって一人ひとりが尊重され、個が育てられるという視点」が大切だ。そこには「共に学びたい」と願う子供たちの姿がある。
本書は集団の学びの中でこそ一人ひとりの発達が保障されるとの立場から、特別支援教育のあり方や授業づくりの要点について解説し、議論につなげようとする。公立の特別支援学校に勤務する現役教員の市橋氏による教育実践と、教員養成大学で教鞭をとる戸田氏が、特別支援教育について入門的に解説する。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2023年8月7日号掲載