中学や高等学校で扱う和歌や短歌、俳句について、それを詠んだ歌人や俳人65人を取り上げる。どのような人生を過ごしたのか、作品の傾向、代表的な歌集、文学史的な歴史的背景、主な和歌の歌意と鑑賞をひとり4頁にわたって解説する。歌人・俳人が興味を持っていたこと、取り組んでいたこと、身近な人との交流やエピソードも盛り込んでおり、人物像に触れることで歌の背景にある世界をより豊かに感じとることができる。
“教科書に出てくる”とは“広く親しまれてきた”ということでもある。「ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」(紀友則)は、多くの日本の人々の共感を呼ぶ。和歌・俳句は、日本の自然や歴史・文化の中で培われてきたからこそだろう。
第Ⅰ部では、和歌・俳句とは何か、技法やルール等の基本事項、『万葉集』から近現代まで流れを解説。第Ⅱ部では万葉集、古今和歌集・新古今和歌集・江戸時代・近現代と、時代区分で歌人・俳人を紹介している。脚注も充実させて読みやすく、深い知識が得られる。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年6月19日号掲載