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図書館

学校図書館活用の充実に向けて教育委員会と指導主事がリードする

2023年4月17日

(公社)全国学校図書館協議会(以下、全国SLA)指導主事研修委員会はこのほど、パンフレット『学校図書館 いま求められている研修とは』を発行した。司書教諭や学校司書、教員などに向けて教育委員会が実施する学校図書館活用の研修会について、その具体的な実施方法がわかる内容となっている。令和4年度文部科学省委託事業「学校図書館資料の整備・活用を進めるために教育委員会が実施する司書教諭、学校司書、教員、公共図書館担当者、地域ボランティア等への研修モデルプログラムの開発」によるもの。発行の経緯や目的、パンフレットの活用方法について、指導主事研修委員会に話を聞いた。

指導主事研修委員会を設置

指導主事研修委員会を設置

研修プログラム案を無償公開 全国SLA

学びの必須インフラとして学校図書館の活用が求められている

学びの必須インフラとして学校図書館の活用が求められている

パンフレット『学校図書館 いま求められている研修とは』は、全国SLAHPからダウンロードできるようにするなど広く公開している。全国の都道府県・自治体が実施する学校図書館に関する研修会のより一層の充実を図る目的で作成された。

 全国SLAでは2019年より、学校図書館担当指導主事向けの研修会を実施。2022年度は文科省委託事業として研究を進め、11月にオンラインによる指導主事研修会で中間報告を行った。当パンフレットはその内容を踏まえて作成された。多くの仕事を抱える指導主事が、学校図書館研修会をスムーズに実施できるよう、マニュアル化している。学校図書館は教科横断的に活用されるものの、「教科」ではないため研修の場を持ちにくい、という実態も背景にあるという。

 学校図書館担当者向けの研修の実施状況は、自治体によって大きな差があるのが現状だ。

 全国の自治体を対象とした「2021年度学校図書館整備施策に関するアンケート」(20216月実施。文字・活字文化推進機構、全国SLA、日本新聞協会、学校図書館整備推進会議)によると、司書教諭を含めた学校図書館担当教諭は「研修や補助は行っていない」449%、「年に複数回」147%が上位。また学校司書は「年に複数回」415%、「研修や補助は行っていない」263%。特に学校図書館担当教諭の研修の実施率が低い。

 しかし探究学習や情報活用能力の育成など、学校図書館の果たす役割が年々高まり、複雑化する中で、司書教諭・学校図書館担当教諭・学校司書等への研修の充実は必須だ。

必要なテーマから研修を

p11【研修テーマ一覧表】「4 情報センター」より

p11【研修テーマ一覧表】「4 情報センター」より

パンフレットには「研修テーマ一覧表と研修例」を掲載。「1 経営・運営」「2 読書センター」「3 学習センター」「4 情報センター」の4つの分類に分け、計31テーマを示している(別掲参照:「p11【研修テーマ一覧表】「4 情報センター」より」)

 同委員会が勧めるのは「テーマ一覧」の中から、地域の実態や、学校図書館関係者の希望に沿って、特に必要と思われるテーマをピックアップして研修会を実施することだ。「どのテーマを扱うか迷った場合は『ICT・学校図書館の相互理解と協働』(4 情報センター」より)といった、‘今日的な課題’を取り上げてみては」としている。

 研修の回数や取り上げるテーマを増やす工夫として、①他の研修会と組み合わせる ②複数のテーマを組み合わせて行う ③夏期に集中して行う ④ICTを活用しオンデマンド、オンラインで実施することを提案する。①について、実際に校長会の中で15分程度を確保しミニ研修会を行っているケースもある。2~3年程度の計画で考えると取り組みやすいという。

 さらに研修の成果を各学校で活かすためにも、「学校図書館担当指導主事は、各学校に校長をトップとした『学校図書館運営委員会』を設置する働きかけをぜひ行って欲しい」という。委員会の設置によって管理職も加わり、各学期に1回は必ず委員会が開催されるため、学校全体に活用方針が伝わる。教職員の異動があった場合も、学校図書館を継続して活用することにつながる。

 なおパンフレットでは他に、全国SLAが司書教諭・学校図書館担当者・教員・学校司書を対象に行ったアンケートからわかる「学校図書館の課題と求められる研修」や、研修内容の工夫について解説。企画・実施を具体化するヒントとなるよう「目的・対象」「内容・レベル」「方法」などについても確認できる。講師は外部に依頼することも方法の1つ。各地域のSLAや全国SLAも相談に乗っている。

 子供たちが主体的に学ぶ力の育成が求められる中で、「子供の興味関心を刺激する学校図書館の役割は大きい。働き方改革を推進する中で、学びのインフラとしての学校図書館がスムーズに動くことで、子供たちが主体的に学ぶ力を育み、情報リテラシーも系統立てて育成できるため、教員の負担減にもつながる」としている。

『学校図書館 いま求められている研修とは』より

「研修テーマ一覧表と研修例」では「1 経営・運営」18、「2 読書センター」3、「3 学習センター」4、「4 情報センター」6、の計31のテーマを掲載。さらにテーマ毎に具体的な研修の例も挙げている。

公開HPからは研修の実際の内容例もリンクで見ることができる。

▼全国SLAHPから、通常版、軽量版、研修テーマ一覧表WEB公開用がダウンロードできるほか、冊子版を10部まで送料負担で郵送可能。

 詳細Webサイト=https://www.j-sla.or.jp/material/research/kensyuu-pamp20230228.html

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年4月17日号掲載

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