性犯罪や性暴力への批判や問題改善への機運が世界的に高まる中、日本は2020年6月に「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」を発表。この中で文部科学省が責任を持って推進するのが「子供を性暴力の当事者にしないための生命の安全教育の推進」である。
しかし、この「生命の安全教育」には、保護者が求めている教育と完全には一致していない等の課題がある。本書では、どのような視点や内容が欠けているか、その問題点を踏まえて、どのように子供へ教育を進めるかを提示する。
例えば、「生命の安全教育」の「水着で隠れるところは、自分だけの大切なところ」という説明については、口や顔、その他の部分も大切であること、相手の関係性によってプライベートパーツは変わることなどを指摘。幼児期と学童期の現場からの実践も紹介する。巻末には、参考になる絵本等も取り上げる。
子供たちが自分の体と他者の体を大切にできるように、また、現場の教員は人権を基軸にした理念を実践できるように本書を活用してほしい。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年3月20日号掲載