第26回「図書館を使った調べる学習コンクール」(主催=公財・図書館振興財団)の入賞作品が決定した。今回は11万3450作品の応募があり、文部科学大臣賞など入賞32作品3団体、優良賞134作品、奨励賞258作品、佳作1256作品が選ばれた。また地域コンクールの開催も過去最多となった。表彰式は3月4日にオンラインで開催され、上位受賞者の作品や取組について紹介された。
自らのテーマを追究し「情報を活用する力」「情報リテラシーの力」をつける「図書館を使った調べる学習コンクール」。今回2022年9月12日~10月3日の募集期間(地域コンクールは異なる)に寄せられたのは11万3450作品で、内訳は「調べる学習部門」の小学生の部8万3945、中学生の部2万6815、高校生の部2578、大人の部62、子どもと大人の部49、「調べる学習指導・支援部門」1(地域コンクール応募総数11万404作品含む)。
また「地域コンクール」は、初開催となる7団体を含めた過去最多の151団体(38都道府県)で開催された。
表彰式は3月4日にオンライン形式で実施された。受賞作品は次の通り。
(敬称略。〈 〉内は地域コンクール略称)
【文部科学大臣賞】▽小学生の部(低学年)「ぼくのぬかづけものがたり」墨田区立錦糸小学校2年・長沼奏汰〈墨田区〉▽同(中学年)「想い!重い!をのせて北前船出航です!」秋田市立保戸野小学校3年・菊谷ありさ▽同(高学年)「仮想プロジェクト『自分の家の前に駅を誘致する方法』」江戸川区立篠崎小学校5年・三木颯祐〈えどがわ〉▽中学生の部「無農薬栽培への挑戦」渋谷教育学園渋谷中学校3年・久郷悠人〈としま〉▽高校生の部「終末期医療における自己決定の尊重を実現するためには―尊厳死法制化論争やACP導入を通して―」海城高等学校1年・横川英輝〈新宿区〉▽大人の部「忘れじの花~戦後の北九州に光を灯した少女歌劇の足跡~」北九州市立八幡図書館・富原まさ江、伊藤明子
【観光庁長官賞】子どもと大人の部「海賊伝承の足あとを追え!~義盛神社の謎に迫る~」台東区立石浜小学校3年・岩楯遼・岩楯直子(母)
【「2030生物多様性枠組実現日本会議」賞】小学生の部(中学年)「見て、たどる力はすごいぞ!!―命のはんえいにつながるセミの集合羽化のひみつ―」春日部市立桜川小学校4年・成田逞〈春日部市〉
なお「調べる学習指導・支援部門」の応募1作品は佳作を受賞した。
審査員による誌上講評では、低学年が得意とする自然の観察を中心にしたものが少ないことが気になった。外に出ることが減ったからかもしれない(小学生の部・低学年)、(都市開発、気象、男尊女卑など)高学年らしい多岐にわたるテーマが見受けられた。また引用文献や参考文献の表記が格段に良くなった(小学生の部・高学年)等の指摘があった。中学生の部では受賞作品5作品がすべて科学系の作品だったこと、高校の部は1年生の応募が増えたなどの傾向が見られた。
地域コンクール主催者表彰を受けた団体はそれぞれ特色ある取組が評価された。
【総務大臣賞】を受賞した小鹿野町教育委員会 小鹿野町立図書館(埼玉県)は「調べる学習」の推進事業として、テーマの決め方・調べ方・まとめ方などの講座を、児童、教職員、保護者に向けて毎年実施。小学校では「総合的な学習の時間」で取り組んで応募した学年もあるなど、コンクールが浸透しつつある。新規事業としては同町の地域おこし協力隊の活動「大人の学校」と連携した「大人の調べる学習講座」を実施した。
【図書館を使った調べる学習活動賞】を受賞した、豊田市中央図書館・豊田市教育委員会(愛知県)は、図書館HPでパスファインダー公開や電子図書館の活用、出前授業、応募方法の見直しなど工夫や改善に取り組み、中学生や高校生の応募数も増加した。
また熊本市教育委員会(熊本県)は、小中学生に配布されたタブレット端末を活用し、ガイドブックの配信や入賞作品を公開し、子供たちに活用された点等が評価された。
後援=文部科学省/観光庁/環境省/総務省/2030 生物多様性枠組実現日本会議/東京都教育委員会/一財・日本児童教育振興財団/公財・海外子女教育振興財団/公財・大宅壮一文庫/公社・日本図書館協会/公社・読書推進運動協議会/日本児童図書出版協会/読売新聞社/活字文化推進会議/㈱毎日新聞社/㈱日本教育新聞社/㈱教育新聞社/一社・全私学新聞/㈱教育家庭新聞社/NHK
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年3月20日号掲載