2017年から約4年間にわたる調査結果に基づき、これからの教育の中で若者が育むべき「俯瞰力」と、それを踏まえたSTEAM教育について論じる。俯瞰力とは全体を見渡し、自分の位置を確認し、何をすべきかを知り、文献調査、人に会う、実験、議論などによって養われる「力」のこと。一方、STEAM教育で養われる力は社会で役立つ。STEAM教育と教科との違い、社会との接続性について考える。「俯瞰力」は、教科横断やSTEAMや問題解決の学習に有効だ。
「読解力は低下しているのか」等の問いを解明するため、調査では小・中・高校生と同一の問題を大学生に課し、正答率を比較した。その結果、大学生の国語の正答率は高く(=読解力は高く)、以下、算数・数学、理科、社会の順で低くなることが分かった。読解力はあらゆる教科で養われる一方で、理科や社会の学びは身についていないと想定される。経験的な学びだけでは解決できない現実の問題について、学問や教科の学びを背景に構造的に捉える力を養う必要がある。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2023年2月20日号掲載