2000年に制定された「地球憲章」の出発点をたどると、1987年、日本政府が設置を提唱し資金支援した「国連環境と開発に関する世界委員会」(ブルントラント委員会)までさかのぼる。東京での最終会合で発表した「われら共有の未来」の中の提言から始まり、その後、法的原則だけでなく、人間や社会の倫理的原則も盛り込んだ「地球市民の憲章」として「地球憲章」が制定され、教育・人づくり、地域・自治体、企業活動などの分野で大きな役割を果たしていく。2005年からは「国連持続可能な開発に関する教育(ESD)の10年」が世界的に展開されていった。
「地球憲章」の起草・制定・普及には、ワンガリ・マータイ氏、旧ソ連のゴルバチョフ元大統領、リオの地球サミットで事務局長を務めたモーリス・ストロング氏、本書の著者の一人でもある広中氏らが関わった。本書では「地球憲章」の源流である「地球サミット」など、制定の背景をひも解きながら、「地球憲章」とSDGsの関わり、「地球憲章」の新たな役割について解説している。
教育家庭新聞 新春特別号 2023年1月1日号掲載