バスケットボール部を辞め、自分自身の気持ちさえわからなくなってしまった慎吾、漫画の推しキャラへの想いに心乱れる朋華、何事にも熱くなれない楓乃、吹奏楽部の改革に孤軍奮闘する高城、自分は「いい人」しか取り柄がないと思っている三熊、片思いを続ける千秋。6人の中学2年生の迷いや悩み、揺れる心情を描いている。
“自分は本当はどうしたいのか”。自分の心と向き合う時、毎日の給食が何かのヒントをくれたり、背中を押してくれる時がある。給食の温かさと共に、中学生たちは少しずつ前に進んでいく。
実際は新型コロナ感染拡大により、以前のように机を班ごとにつけて賑やかに喫食できない現状の中、「かつてのようなたのしい給食の時間が、1日も早く戻ってくるように」という作者の願いが物語に込められている。
前作『給食アンサンブル』は、作中の給食メニューが複数の学校でコラボ給食として提供されたり、国語の入試問題として作品が選出されたという。前作の登場人物たちがさりげなく登場しているのも嬉しい。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年11月21日号掲載