文部科学省は2022年度「子供の読書活動推進に関する有識者会議(第5回)」を10月21日に開催した。
国の「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」の次期基本計画に向けての本会議。今回の会議で示した「これまでの議論についての整理(案)」では、第4次計画期間における状況を踏まえ、次期の「基本的方針」「子供の読書活動の推進方策」「子供の読書活動の推進体制等」についてまとめており、各委員が意見を述べた。
「これまでの議論についての整理(案)」では、「ICT、DX関連の環境整備について記述が多い」「電子書籍の活用について力点が置かれすぎではないか」といった意見が多く出た。「総論の部分で、読書をひとくくりにするのではなく、読み物を深めていく力と、情報源を読み拡げていく力をそれぞれ捉えていく必要がある。デジタルを活用する場面と、紙の力で育てていく場面を考え、そこに発達段階も絡めていかなければならないのではないか」(福田孝子委員)と述べた。発達段階を考慮する点では多くの意見があり、乳幼児期では紙の本が良いという意見、多様な読書機会・幅広い読書機会の必要性、「年齢が下がるほど高度なデジタル社会に置かれており、現在の高校生との差も大きい」(有山裕美子委員)という意見も。
また課題となっている「高校生の不読率の解消」については、「教育委員会の探究学習への推進が問われる。教育委員会や自治体の関わりを前面に出すべきではないか。教科の学びに焦点を当て、それを切り口として読書推進をしていくことが高校の発達段階には適切なのではないか」(稲井達也委員)との意見もあった。
学校図書館については他にも教員養成課程や教員研修の重要性、家庭の貧困への対応、教員の教材センターや子供の心の居場所としての役割、情報科との連携の重要性などへの意見があった。
座長の秋田喜代美氏は「0歳児から高校生までの読書について議論しているが、それが生涯のWell―Beingに繋げていくための読書であるという時間軸と、今後子供の人口が減っていく中で、学校も地域も図書館が地域のコミュニティづくりの中核となっていくという少し大きな視点から、そのために具体的には何が必要となるのか考えたい。おそらくDXはICT機器が入るだけでなく、組織の関係を変えたり、いろいろな教員が新たにつながり合ったり、地域の人が変えていくこともある。それらを含めて新たな第5次の計画に進めていきたい」としている。
次回第6回は11月29日開催予定。本会議の最終回となる。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年11月21日号掲載