学習指導要領の改訂により2022年4月から高等学校での金融経済教育が必修化。また、成年年齢の引き下げに伴い18歳から金融に関する様々な契約が行えるようになるなど大きな変化が起こっていることを背景に、ビザ・ワールドワイド・ジャパンがMMD研究所と共同で実施した調査によると、高校生の約6割が金融について「学びたい」と回答。また、今後学びたい項目は「適切な収入・支出の管理方法」が最多となった。
調査は高校生481人、高校生を子供に持つ親1000人、高校教員500人を対象に実施した。高校生の金融教育で必要だと思うことを高校教員に聞いたところ「家庭での指導」が32・2%で最も多く、次いで「金融に関する興味・関心を高めること」が31・8%、「専門家からの指導」が30・2%となった。また、高校生の金融教育が行われるべき場所について高校生の親に聞いたところ(複数回答)、「学校での授業」(51・6%)が最も多く、次いで「学校でのセミナー・イベント」(34・6%)、「家庭内での指導・教育」(25・0%)の順だった。
今後、金融について学びたいか聞いたところ、高校生の60・3%が「学びたい」と回答。「学びたい」と答えた高校生290人に、学びたい金融に関する項目について聞いたところ(複数回答)、「適切な収入・支出の管理方法」が最も多く52・8%。次いで「保険の種類と必要になる金額の理解について」(52・4%)、「住宅ローンやカードローンの仕組みやリスクについて」(51・0%)の順だった。
高校生が金融リテラシーを十分に身につけていると思うかを高校教員に聞いたところ「どちらかといえば身につけていないと思う」「身につけていないと思う」の合計が60・6%。そのように回答した高校教員303人に、理由について聞いたところ(複数回答)、「学ぶ機会が今までなかったから」が38・6%でトップだった。
お金の管理で意識していることを高校生に聞いたところ(複数回答可)、「お金を貯めるために節約を意識している」が23・1%と最も多く、次いで「お金を使う時は計画的に使うようにしている」が22・9%、「将来必要となるお金について考えるようにしている」が20・2%となった。
Visaデビットは全世界でコロナ前の2019年と比較して、2022年の取扱高は1・5倍、取引件数は1・4倍と短期間で高い伸びを示している。日本においては、利用している理由として、全体では「口座からすぐ引き落とされるから」、高校生は「クレジットカードを保有できないから」、大学生・専門学生は「インターネットショッピングで利用できるから」が1位。
ゆうちょ銀行も2022年5月から、ゆうちょ銀行のICキャッシュカードやVisaデビットカードとしても使用できる「Visaデビットカード『ゆうちょデビット』」の取り扱いを開始している。
家計再生コンサルタントで㈱マイエフピー代表の横山光昭氏はデビットカードのメリットについて「口座から引き落として利用する形式は非常にシンプル。使えば残高がわかり、預金が減ることが高校生にも理解でき、何に使ったのか履歴で確認できることが魅力」と語る。またネットでの買い物が増える中で、Visaのカード決済が使えることも大きい。
自身の6人の子供のうち15歳以上の4人がVisaデビットを使っている横山氏は「お金を自分で管理して使いたい」という子供の気持ちを重視している。親としては「自分で使うお金は自分で管理できる力をつけて欲しい」という思いを持っており「欲しいものを買うためには、どれ位のお金が必要か」などを子供自身が考え、計画的に使えるようになって欲しいという。
「家族でお金の話をすることをタブーにする家庭も多いが、わが家ではマネー会議を開いて一緒に家計について考えたり、子供の口座を見ながらデビットカードの利用履歴を確認しています。家族でお金の使い道を振り返り、共有することが金融教育の入口にもなっています」。
一方、キャッシュレス決済として活用が広がっているものに電子マネーがあるが、その電子マネーのチャージもデビットカードから行うことが可能で、「お金の動きを一括で管理しやすくなる」と横山氏は語る。
デビットカードが15歳もしくは16歳以上から利用できることの認知率は高校生が20・0%で5人に1人の割合。高校生の親はさらに低く16・9%だった。また、デビットカード未利用の高校生475人と高校生の親906人を対象に利用意向を聞いたところ高校生は32・8%が「利用したい」「やや利用したい」と回答。高校生の親は15・6%が「利用させたい」「やや利用させたい」と回答している。
Visaデビットは口座を持っていれば15歳以上から審査なしで作ることができる。高校生にとっては初めてのキャッシュレスとなるケースも多い。支出の履歴がアプリで確認できるため、親子で利用履歴や口座残高を確かめながらお金の使い方を話し合うなど、金融教育につなげられる。
現金による買い物はキャッシュカードでATMから現金を引き出して使う形が一般的だが、Visaデビットは口座から直接引き落とされるため、脱現金化が可能でデジタル化が進められる。利用限度額は預金口座残高の範囲内なので使いすぎる心配もない。親や教員から見て高校生がデビットカードを利用したほうが良いと思う点でも「利用できる金額は口座残高の範囲になること」が35・3%で1位だった。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年10月17日号掲載