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『ちいさな宇宙の扉のまえで 続・糸子の体重計』いとうみく/作 佐藤真紀子/絵

2022年8月15日
BOOK REVIEW

6年生、揺れる5人の心

いとうみく/作
佐藤真紀子/絵
童心社
四六判 312頁
1650円

2012年発行の前作『糸子の体重計』は、日本児童文学者協会新人賞受賞作。

その後を描く本作では、6年生になった糸子と同級生の視点から、悩み、うらやみ、ときにぶつかる姿を描く。

細川糸子は、おいしいものを食べるのが大好きな元気少女。盲腸で入院している間に転校生の日野恵がやってきた。恵は、なぜか糸子と親友になろうとしてきて、糸子は疲れてしまう。「迷惑だっていえばいいのに」と町田良子に言われ「いいたい。いいたいけど、そんなこといえっこない。だって、いったら日野さんを傷つけちゃうし」――。

転校すれば新しい自分になれると思っていた恵。言葉で伝える大切さに気づき、自分探しをはじめる町田良子。良子に憧れる気持ちに気づき、うろたえる坂巻まみ。母親とすれちがう滝島径介。思春期の瑞々しい感情が表現される。

5人は考えすぎたり落ち込んだりしながら卒業式を迎える。未来を考えるとわくわくする糸子。「あたしたちは、案外強い。案外タフで、それで案外ずうずうしい」。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年8月15日号掲載

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