生徒にとって実験授業は、知識の定着や探究力の向上など、受験対策にとどまらない力を身につける貴重な機会となる。本書は「忙しい高校教員にも手軽に実験授業を実施してほしい」「多くの生徒に授業を通じて実験を体験してほしい」とまとめられた。「575」とは「準備に5分、実験に7分、片付けに5分くらいかければ実施できる」ほどに簡単であること。時間に余裕があれば、失敗してもすぐにやり直せるし、実験結果についてじっくり検討できる。
30の実験を収録。「30秒でワインを蒸留」は、石油の精製など日常に近いところで行われる「蒸留」について、専用の器具を用意しなくても、ビーカーとペットボトルのキャップを使った装置で短時間で行える実験だ。また「数滴でダニエル電池」は、セロハンやろ紙を使って水溶液が少量で済む工夫がされている。
生徒たちが行う準備や操作、片付けまでをまとめた「実験プリント例」や、さらに深められる「追加の実験」等も掲載。実験の様子がわかる動画も提供しており、本書と併せて活用したい。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年8月1日号掲載