文部科学省では6月7日、「令和4年度子供の読書推進に関する有識者会議」を設置した。なお今年度は第4次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」の最終年度にあたっており、来年度からの次期計画策定に向けての検討を進めている。
本会議の委員は、学習院大学文学部・秋田喜代美教授、軽井沢風越学園・有山裕美子教諭、大正大学人間学部・稲井達也教授、帝京大学教育学部・鎌田和宏教授、福島県平田村立ひらたこども園・桑原真希教諭、(公社)全国学校図書館協議会・設楽敬一理事長、(公社)日本図書館協会児童青少年委員会・島弘委員長、(公財)東京子ども図書館・清水千秋事務局長、(特非)ブックスタート・白井哲代表、千葉県市川市教育委員会学校教育部指導課・富永香羊子課長、東京都立多摩図書館・中野多希子館長、専修大学文学部・野口武悟教授、三郷市読書活動アドバイザー・福田孝子氏、放送大学・堀川照代客員教授。座長は秋田氏が、副座長は堀川氏が務める。
6月29日に開催された第1回の会議では、文部科学省総合教育政策局地域学習推進課より、子供の読書活動に関する現状について解説。本会議の論点(案)について次の通り示した。
①発達段階や多様な特性に応じた読書習慣の形成…乳幼児期から読書習慣を形成するために効果的な取組、主体的・対話的な深い学びの実現に向けた効果的な取組、高校生が読書をするきっかけになるような効果的な取組、特別な支援が必要な子供や外国籍の子供への読書活動の推進方策、読書活動に関わる学校・図書館・NPO・民間企業等との連携方策が、それぞれどのようなものか。
②読書とICT(情報通信技術)とのベストミックス…ICTの活用を読書活動にどう結び付けていくか、紙と電子書籍それぞれの強みを活かした読書活動をどのように考えるべきか。
③地方公共団体の推進体制について…地方公共団体の読書活動推進計画の策定をどのように促進するのか、地域間・学校間格差を解消するための方策はどのようなものか、読書活動を支える人材をどのように育成するか。
各委員はそれぞれの研究や実践等について紹介しながら、論点について意見を述べた。
論点案②「読書とICTとのベストミックス」に関しては、「紙(の本)か電子書籍か」に拘らす、それぞれの特性を生かすと同時に、「メディアの違いではなく中身が重要」「紙・電子に関わらず、“読む力”が求められる」といった意見のほか、「子供たちはデバイスの中で常にテキストに触れている。それをどのように読書に結びつけるか」「他者との交流や感想などの発信」「読書コミュニティーや場の形成」「地域と学校との連携」「読書のバリアフリーや多言語への対応」「地域と学校との連携に活用」など、より広がりのあるICT活用についての意見が聞かれた。1人1台端末の整備や、中高生のスマートフォンの保有率が急増するなど、子供たちは常にデバイスを持つようになった。今後の会議でも様々な角度からの議論となりそうだ。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年7月18日号掲載