まど・みちお氏の詩を、小学校の時間割になぞらえながら紹介し、子供と詩の豊かな出会いを生み出す一冊。
火曜日、朝の集会は1年生を迎える会。そこで登場するのは「1ねんせいになったら」。1時間目の音楽の時間は「ぞうさん」。そして水曜日の2時間目の算数は「わたしのさんすう」といったように、1週間を通して国語・社会・理科といった教科、朝の集会、クラブ活動、給食や掃除、さらに季節の行事など、学校生活の中のさまざまな時間に寄り添うように詩が紹介される。
著者は小学校の教員を37年間務め、その間市民活動に子供たちと共に参加。その後大学で教職を学ぶ学生を教え、「読書のアニマシオン研究会」の代表も務めた。本書ではまど氏の生い立ちや歩み、作品の深さについて解説すると共に、著者自身が経験してきた、教室での生き生きとした子供たちのようす、学生たちの実践なども綴る。
「詩は、本来、『教材』ではありません」。詩を口ずさみ、力まず、好きになって欲しい。著者の想いが伝わってくる。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年6月20日号掲載