沖縄戦で看護要員として戦場に送られた「ひめめゆり学徒隊」。その一員だった与那覇百子氏の少女時代から戦後を描くノンフィクション。
ももちゃんは学校も勉強も嫌いだったが、音楽だけは好き。お父さんが作ってくれた木の机の上に、白鍵と黒鍵を書いた紙をつなぎ合わせて置き、ピアノに見立てる。「ドソミソドソミソ」。紙のピアノで、小さな指を動かしながら歌った。
音楽発表会で本物のピアノ演奏を聴き、「いつかグランドピアノで『銀波』をひきたい」と夢をもつももちゃん。しかし、日本は、中国との戦争が終わらないまま、アメリカ・イギリスとも戦争を始めていた。
ももちゃんは難関を突破し「ひめゆり学園」でピアノを学ぶ。しかし、『銀波』はアメリカの曲のため、弾くことも聴くことも禁止。授業は戦争をするための作業になった。そして、「生きたまま捕虜になることは、人間として最大の恥である」と教えられる。
音楽を糧に、前向きに生きたひたむきな少女。沖縄復帰50年、平和の重要性を再認識したい。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年6月20日号掲載