「SDGsと私たち」をテーマとする環境教育講演会が6月2日、群馬県前橋市立前橋高等学校(松村敏明校長)で行われた。講師は産業廃棄物中間処理業の三洋商事㈱の地球環境・未来創造部部長・石田公希氏。同校1年生約240人に向けて、SDGsや環境問題などへの関心を高めるとともに、進路や職業選択の参考になる講演となった。
‘地球にありがとうを伝える企業’がキャッチフレーズの三洋商事。講演では最初に、同社が手掛ける事業の業務内容や社会貢献活動、企業理念を紹介した。
産業廃棄物とは事業活動によって排出される廃棄物(ごみ)のうち、廃プラスチック類や金属くず、ガラス・コンクリートなどの法律で定められた20種類があり、同社はそのうち6品目を扱う。同社の強みである高精度の分別は手作業によるもので、高いリサイクル率を実現している。
SDGsにつながる同社の取組は幅広い。年間約4億㌧の産業廃棄物や、埋め立て(最終処分)地の限界といった日本のごみ問題に対し、中間処理段階で減容化する同社の事業そのものがSDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」、12「つくる責任 つかう責任」、14「海の豊かさを守ろう」に関連づけられる。
他にも女性社員のスキルアップや、チャレンジド(障害者)雇用など、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、8「働きがいも経済成長も」等につながる多様な取組がある。
石田氏は「SDGsは、みんなの夢や幸せを守り、実現するために必要」と説明した。
同社では子供たちが解体実習を行う体験学習「エコスクール」を2009年から実施(コロナ禍以降、出前事業に転換)するなど、環境教育に力を入れてきた。そうした中、地球環境・未来創造部は2020年、石田氏が創設。講演の中で石田氏は、部署創設のいきさつや環境問題に興味を持ち始めた中学生時代のことなども語った。
同社では「この講演を通じて環境問題への関心を深めるだけでなく、高校生と社会人の垣根を超えた関係性を作り、生徒の皆さんが将来の夢や職業、生きることについて考えるきっかけにして欲しい」としている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年6月20日号掲載