スクールカウンセラー(以下、SC)にとって、本来1対1で行う個別カウンセリングは、その仕事の一部。目指すところは「学校コミュニティ全体のメンタルヘルスの向上」なのだ。
一方で、その重要性を知りつつも、個々の環境の中で十分に動けない現状もある。本書ではそうしたSCや教職員に向けて、学校現場の中で効果的に使えるコミュニティ・アプローチの方法を伝える。著者のSCとしての経験を土台に、コミュニティ心理学の理論や介入方法について、具体的・実践的に紹介する。
代表的な5つのコミュニティ・アプローチは①アウトリーチ・家庭訪問、②予防・心理教育(心の健康教育)、③コンサルテーション・コラボレーション、④危機介入(学校危機対応・緊急支援、⑤サポート・ネットワーキング。これらの手法をスクールカウンセリングに活かすための方法を解説する。
「学校危機への対応」では、教職員のストレス・マネジメントや、東日本大震災で著者が経験した中学校における緊急支援についても収録。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年6月6日号掲載