都立中高一貫校の英語教員などを経て、2019年に新渡戸文化学園に赴任した著者が、新たに考えた「学びのミライ地図」。子供自身が学ぶ目的を分かりやすく意識するためのものだ。
「学びのミライ地図」では、いまの自分を起点として「なりたい自分」(未来)に伸びる矢印を書き、その周りに自分の「やりたいこと」「挑戦したいこと」を書いていく。初めのうちは矢印の周りに何も描けなかった生徒たちだが、授業やさまざまな経験を通じて、徐々に描けるようになっていく。定期的に「学びのミライ地図」をバージョンアップする機会を設け、常に「その教科を学ぶ目的は何か」「取り組みたいことは何か」「その教科を学んでどんな自分になりたいか」を問い続けるのも大切だ。
著者は生徒が自律的に学ぶ「教えない授業」を実践してきた。子供たちの興味関心からスタートし、勉強が社会で役立つことを実感させ、学ぶ意欲を引き出していく。このコンセプトを学校全体で取り入れ、自律型学習者を育てるための具体的な手法を紹介する。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年6月6日号掲載