イギリスは新型コロナウイルスの感染拡大の進行が最も早い国の1つであり、教育への影響も大きかった。一斉休校となったのは2020年3月20日。イギリス政府は学校に対して多くの指示を出した。ヴァネラブル(貧困、障害、家庭環境など何等かの援助が必要)な子供や、エッセンシャルワーカーの子供たちを登校させる、フリースクールミール(給食無料)の子供たちに食事を届ける、学びを止めてはいけない。そして、誰がどの様にそれを行うのかの一切は、学校長に一任されていた。日本と異なる仕組みで動いている公立学校は、日本とは違う形でコロナ問題と格闘することになったのだ。
本書の舞台となったレイクウッド小学校は、移民系が多い土地柄、英語力が十分でない子供たちが多い。貧困が深刻な地域でもある。「コロナだから学校を閉鎖」に応じられない緊急の子供たちを多く抱える中、学校は何をどのように決定し、実行したのか。ロックダウン下、バブル方式の学校…と時系列で追いながら、ベル校長先生と学校の奮闘を描く。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年4月4日号掲載