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図書館

電子書籍を教材に活用 感想機能が学習ツールに~東京学芸大学附属竹早小学校(東京)

2022年2月22日

学校図書館における電子書籍には、学校外からも書籍にアクセスでき、また複数の人数で同時に読めるといった利点がある。GIGA端末によって児童生徒が書籍に触れる機会を増やすこともでき、さらに豊富な図書資料を教材として活用することで、授業の幅も広げられる。東京学芸大学附属竹早小学校では、ポプラ社が提供する「Yomokka!(よもっか!)」※を活用し、複数書籍にあたる学習や、読んだ感想を友達同士で共有しながら深める実践を行っている。

スクリーンに映し出された写真絵本を、手元の情報端末でも確認する

東京学芸大学竹早地区附属学校園では、10年後の学校教育の姿を思い描く総合的研究「未来の学校 みんなで創ろう。PROJECT(以下、プロジェクト)に取り組んでいる。附属学校園・大学・企業・教育委員会が連携。10のプロジェクトチームが多彩なテーマで授業実践研究を重ね、121日に公開研究会がオンラインで開催された。

その1つ「未来の学校図書館から、子どもたちに学びを。」では、情報が溢れる時代の学校図書館のあり方を電子書籍を活用した授業で提案する。

クラス全員で一緒に複数の写真絵本を味わう 2年生国語科

22組では国語科「写真絵本をあじわいつくそう!」の全12時間の活動に取り組んだ。複数の写真絵本をさまざまな見方で読み比べることを通じて、その魅力に気づくことがねらい。Yomokka!では冊数制限がなく、同時に何人でも読むことができる。クラス全員で同じ図書資料に当たることが可能だ。

教材に取り上げたのは写真家の皆越ようせい氏の作品『ダンゴムシ みつけたよ』『ここにも! そこにも!ダニ』『ミミズのふしぎ』ほか計6冊。作者の言葉、写真の使い方や特徴に着目しながら読み、学級のみんなで意見を交換してきた。

公開研究会で紹介された11時間目の授業では、皆越作品を通じて、出てくる生き物たちについて、自分たちの見方がどのように変わり、どのように感じるようになったか児童みんなで共有。特に印象に残った箇所で使われている説明の工夫を考える。

生き物たちの“子育て”に注目し、「たまごをまもる」ハサミムシのようすを「人生大変そう」という意見や、絵本それぞれで取り上げる生き物が、同じように敵に襲われるので、「ピンチ系も結構あるね」「あるある!」などと話し合う。友達の意見を聞きながら、「これは何ページ?」「ミミズの本の33ページだよ」と教え合い、情報端末(Windows)で絵本のページをすぐに確認したり、ダンゴムシの写真を拡大して見たりしている。

授業を通じて生き物の「大切な役割」等の作者のメッセージを受け取り、さらに自分の感想だけでなく、さまざまな感想や意見を知ることで、児童たちは作品の良さや発見をより味わった。

図表の見方を学習する

担任の曽根朋之教諭は「低学年段階から図表の見方を養い活用するべき」と考える。知識を得るための図鑑と異なり、写真絵本は写真の見せ方や添えられた文章によって、その作者の魅力や発信したい思いが伝わる。加えて、「複数教材は情報量が多くなる。低学年の子はまず絵や写真から内容を理解する。絵や写真に照らし合わせて言葉を読んでいくので、写真絵本は(文章のみの図書資料と比べて)ハードルも低い」とする。

感想機能を使って人に伝わる文章を考える 3年生国語科

みんなの感想を一覧で共有

Yomokka!の子供が記入・閲覧できる感想機能。画面には各自で考えたペンネームで表示される

週に1回、メディアセンター(学校図書館)での時間が楽しみな児童たち。読み聞かせの後には読書ノートに感想を記入しているが、丁寧な感想の記入ができていないという課題があった。

そこでYomokka!の機能を活用し、「本を読んだ感想を目的意識と相手意識をもって丁寧に表現することの良さに気付く」ことをねらいとした。

Yomokka!の感想機能は開かれた場であるため「相手が読みたくなるような感想」を、一方の従来の読書ノートは個人的な感想の場として「未来の自分のために」書くものとして、5W2Hを基本に据えて取り組んでいった。単元の導入は国語科の「修飾語を使って書こう」。

Yomokka!の活用は、まず読んだ本の中から好きな本を選び、「みんなのランキング」コーナーに投稿することから始めた。次に「感想機能」で好きな本の感想を5W2Hを意識しながら書き込み、お互いに読み合う。『かたあしだちょうのエルフ』では、感想を読み合い、あらすじと感想の違いとは何かを考えた。

そして8時間目では『子うさぎましろのお話』を読み、まだ読んだことがない人が読みたくなるような感想はどのようなものかを考える。

Yomokka!では特定の本の感想を一覧で表示できる。児童は、教員用機能でダウンロードしプリントした感想の一覧を読み合い、そこから“読みたくなる言葉”を小グループで探して話し合う。「『読んでみてください』だけだと、内容も面白かったかも分からない」「『家に帰れなかったからです』のところは、みんなが一番ドキドキして大事なところだから、それをしっかり書いていることが良い」等の意見も出た。物語の良さや面白さが人に伝わる感想文とは、どのようなものなのかに気付いていった。

担任の高須みどり教諭は、Yomokka!の感想機能は、自分自身が書く立場であるだけでなく、「自分以外の読者がいるということも、児童たちにとって意識しやすくなった」としている。

Yomokka!の有料版サービス開始は今年の4月から。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2022年2月21日号掲載

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