回答者:佐藤幸江(放送大学客員教授)
GIGAスクール構想の実現と「電子端末で調べて終わりになる」こととは、関連があるかというと、それは「否」です。これまでの図書資料等だけを活用しての調べ学習でも、単に資料を写して終わりという様子は見られましたから。
必要なのは「明確なテーマ設定」と、発信する「相手意識や目的意識」です。調べ学習では、テーマに沿って情報を収集し、そこから自分にとって必要な情報を選択します。その情報と自分の体験や考えとを結びつけて整理し、読み手に伝わりやすいようにまとめて作品にしたり発表したりします。テーマや相手・目的意識が明確でなければ写して終わりの活動になってしまいます。
端末や図書資料は、情報の収集や選択に関わるものです。様々なメディアの特性を知って、自分に合った手段を活用できるようにしたいものです。そのためには、インターネット、本や新聞、雑誌等、様々な手段を活用して情報収集・選択するという学習過程を、教科等で設定するとよいでしょう。国語や社会等ではすでに学習活動そのものが課題解決的になっています。またはこれらの教科を核として、教科等を横断させる学習活動が考えられます。そこから得た情報を整理し、どうまとめればより読み手に伝わるかを試行錯誤する際には、1人1台端末が大いに役立ちます。これからの調べ学習では、1人1台端末を抱えて学校図書館へ行き、本について分からないことがあれば学校司書に相談する等、学びの場を学校図書館に広げられるといいですね。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年7月19日号掲載