岩波書店は今年3月、中学生をターゲットにした新シリーズ「岩波ジュニアスタートブックス(ジュニスタ)」を創刊した。最初のラインアップは『未来をつくるあなたへ』(中満泉/著)ほか、計4冊(=写真)。
ジュニスタは、従来中高生を中心に大人まで幅広く支持されてきた「岩波ジュニア新書」の蓄積を生かした学習入門シリーズ。「自分で考える力」を養うため、多様な考え方やものの見方を提示し、中学生が自分の可能性を広げていくための「学び」に役立てるのがねらいだ。
そこで中学生が手軽に読めるような工夫を随所に盛り込んだ。まず冒頭、目次の前に内容のポイントや著者の紹介をまとめた頁を設けた。本を読み馴れていない子でも、その本に何が書いてあるのかを掴みやすくした。また2色刷りでキーワードを明確にし、関連図書・Webサイトの紹介はテーマのつながりが分るようにマップ形式で掲載する。用紙は軽く、本の開きやすさといった仕様にも力を入れた。
発売後の反響は大きい。山本慎一編集長は「小学生向けのビジュアル中心の入門書は各社から多く出ているが、文章中心の入門書はそれほど多くない。ジュニスタは中学生が安心して読める、と言ってもらえるシリーズにしていきたい」と話す。
5月末には日本テレビアナウンサーの桝太一氏による『なぜ私たちは理系を選んだのか―未来につながる〈理〉のチカラ』など計3冊を刊行。今後は環境問題や宇宙、自然科学、スマホ・SNSなど、関心の高いもの、授業や探究学習の参考図書になるテーマで発行していく。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年6月21日号掲載