令和2年度「第52回全国小中学校環境教育研究大会(東京大会)」「第56回東京都小中学校環境教育研究発表会」が2月26日にオンラインで開催された。主題は「21世紀『環境の世紀』への提言 持続可能な社会づくりのための環境教育の推進―環境教育・ESDによって育む学力と環境保全意識―」。指導計画と実践の口頭発表と講演が行われた。また誌上発表では全国から7校の実践が紹介された。(主催:全国小中学校環境教育研究会、東京都小中学校環境教育研究会)
SDGsを視野に入れた教育活動の充実がこれまで以上に重視されている。全国小中学校環境教育研究会の藤森克彦会長は「環境教育ESDで育む態度を明確にし、主体的・対話的で深い学びによって育つ学力・活動意欲の向上を図るためのカリキュラム・マネジメントを推進が重要」と話す。
東京都小中学校環境教育研究会の口頭発表では、「脱プラスチック」について、小学校高学年の指導カリキュラムの作成と実践について報告。海洋プラスチック問題をテーマとする理由として、同研究会の關口寿也研究部長は、「児童生徒にとって身近な課題としてとらえることができる問題」であり、「どの地域でも課題意識を持ててESDとして実践できる」「SDGsと合致する」等を挙げる。
第6学年の総合的な学習の時間「本当のエコって何だろう」指導計画は、全5次・25時間程度の指導計画。国語・社会・理科・家庭科の単元とも関連づけた内容だ。その中で第2次「つかむ・調べる・共有する」の単元では、身の回りのプラスチック使用について確かめる。お菓子や日用品など、数種類の包装が異なる商品の中から選ぶ買い物体験を行う。
はじめに「1番好きな商品」を選び、選ぶ際の理由を記入する。ある児童は家で使っている・使いやすいといった理由から、醤油は「密封ボトル」を選んだ。食べやすさや使いやすさといった消費者の視点の選択となった。次に「一番エコな商品」を選ぶと、コーラはびん・缶・ペットボトルのどれがエコなのかを考え、児童の選択は製造者の視点へ変化していく。その後の調べ学習では児童たちは「紙ストローは本当に良いのか」「エコバッグは本当にエコなのか」「ビンと缶の容器はどちらが環境によいのか」といった、素材の利便性や生産負荷、サーマルリサイクルと作り変えるリサイクルの違いなどを深堀りし、生活の中でどのような行動をするべきか、考えを深めていった。
關口研究部長は「分別回収さえしていればリサイクルされていると考えたり、素材ではなくリサイクルの方法に着目する傾向がある。指導者側が、社会システムや流通システムへの幅広い知識がなければ、議論の方向性を見誤る可能性がある」と指摘している。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2021年3月15日号掲載