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ペットボトル水平循環でCO²削減に挑む~サントリーホールディングス

2020年11月16日

海洋プラスチックごみ問題など、プラスチックを取り巻く課題が注目される中、サントリーホールディングスではペットボトルのリサイクルや植物由来の素材の使用など、最新技術を活用した取組を行っている。10月14日のオンライン説明会では、飲料空容器再資源化工場「リサイクル・プラザJB」(埼玉県さいたま市)でペットボトルが再資源化される様子を紹介した。

ペットボトルの素材を
植物由来と再生素材に

不純物などを手作業で選別

不純物などを手作業で選別

サントリーホールディングス(株)は、2030年までに、グローバルで使用するすべてのペットボトルの素材をリサイクル素材と植物由来素材に100%に切り替え、化石由来原料の新規使用ゼロの実現を目指している。またデザイン変更などによるペットボトルの軽量化、再生PET樹脂の使用、ラベルは国内最薄にする取組も行っている。

中でも「ボトルからボトルBtoBへの水平循環」のリサイクル技術は、使用済みのペットボトルを再度ペットボトルにするリサイクルシステムとして注目される。PET樹脂の不純物を高温・減圧下で吸い出して、再びペットボトルとして利用できるようにするものだ。さらに世界初の開発となる「FtoPダイレクトリサイクル技術」は、リサイクルの一部工程を省くことで、環境負荷の低減と再生効率化を実現。新たに石油由来原料を使用する場合と比較して、CO2排出量は60%以上削減されるというものだ。このような取組により、同社の2019年の国内製品のリサイクル素材使用率は約2割となっている。

また植物由来原料100%使用のペットボトルの開発に向け米企業と共同で研究している。原料はトウモロコシ等の食品でなく、松の間伐材等、食品以外のものを活用しているのもポイントだ。

リサイクルで重要なのは
きちんと分別すること

同社のグループ会社であるジャパンビバレッジグループは、2003年、「リサイクル・プラザJB」を設立。現在、東京・埼玉・千葉・群馬にある24支店の缶・びん・ペットボトルの再資源化を行っている。

フレーク

フレーク

自動販売機から回収された缶・びん・ペットボトルは、まず手作業で異物を除去、缶を選別したのち、手選別でペットボトルとびんの色分けが行われる。選別されたペットボトルはつぶしてペール品となり、再生加工会社に出荷される。再生加工会社では、フレーク状に粉砕・洗浄し、高温・真空処理し、ペットボトルの原型に成型される。結晶化しないことで工程を少なくし、CO2の排出を抑えられる。

ペット ボトルの原型

ペットボトルの原型

使用済みの飲料容器の回収ルートは2つに分かれる。1つは家庭や事業所から出されるもので、各自治体が回収する。もう1つは自動販売機のリサイクルBOXで、事業系のごみとして企業が回収している。どちらの場合もキャップは必ず外すことが重要だ。家庭や事業所の場合はラベルをはがし軽く水洗いをする。自動販売機のリサイクルBOXではラベルはそのまま、洗浄なしで良いが、飲み残しや異物は入れてはいけない。(株)ジャパンビバレッジエコロジー 運営部副工場長の佐藤康史氏は「ペットボトルの水平循環構築のため、消費者の皆さんにはぜひ正しい捨て方をお願いしたい」と話す。

 

キッザニアで体験
ペットボトルの回収

リサイクルも学べる

リサイクルも学べる

子供の職業・社会体験施設である「キッザニア東京」「キッザニア甲子園」両施設では、10月20日の「リサイクルの日」より、ペットボトルのリサイクルについて学ぶアクティビティが加わった。

サントリー食品インターナショナル(株)が展開する『ビバレッジサービスセンター』パビリオンでは、自動販売機の仕組みや商品の入れ替え、運営管理といった体験活動ができる。今回、新たにペットボトルを回収、パビリオンに持ち帰り、リサイクルの仕組みと分別の大切さを学ぶ体験が提供される。身近なペットボトルがゴミではなく、大切な資源であるという、子供たち自身の気づきにつながることを目指す。

教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年11月16日号掲載

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