回答者:平野誠(中央大学附属中学校・高等学校 司書教諭)
電子書籍の利用にはいくつかの方法がありますが、学校での活用を考えると、既存のパソコンやタブレットPC等の端末で校内や校外でも閲覧できるクラウド型の電子図書館システムでの利用がお勧めです。個人利用も進んでいますが、未経験の生徒もいますので、複数名が一緒に活用するグループ学習から始めると良いでしょう。端末台数に併せてグループ数を調整することもできます。
例えば修学旅行では、班別の学習活動を行うことも多く、グループ学習が取り入れられます。見学先を調べるためにはwebサイトも便利ですが、より一覧性の高い旅行情報誌を学校図書館で用意する際に、紙の書籍から電子書籍に変えるのも一案です。必要な部分を拡大したり、大型提示装置で表示することも簡単にできるので、協働学習の教材としても適しています。
電子図書館には、特集書架のように「中3修学旅行」など学習のテーマごとに電子書籍を集めて表示できる機能や、生徒や教職員が作成した独自資料を電子書籍として収録できる機能もあり、学習ツールとしての活躍も期待されます。
利用期間を学習時期に併せて3か月程度にすれば、費用は紙の書籍と同程度か安価になるケースもあります。複本の置き場所を確保する必要も無く、繰り返しの利用による損傷などの心配もありません。まずは数冊から導入してみてはいかがでしょうか。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年6月15日号掲載