第55回東京都小中学校環境教育研究発表会が2月7日、東京都町田市立南成瀬小学校(鯵坂映子校長)で開催された。主題は「持続可能な社会づくりのための環境教育の推進-環境教育によって育む学力と環境保全意欲-」。4年生「総合的な学習の時間」と5年生「社会科」の公開授業が行われた。
4年1組の授業は、総合的な学習の時間「替えて代えて変える未来~脱プラ生活」。東京都小中学校環境教育研究会によるモデルプランの一部を取り出した内容で、授業者は同研究会研究員の府中市立府中第六小学校の八長康晴主任教諭。
事前学習として、児童は国連広報センターが配信している海洋マイクロプラスチック問題をテーマにした「プラスチックの海」を視聴。授業のはじめには映像を見た児童の感想をもとに、プラスチックについてのイメージマップを作った。
次に教室内で使われているプラスチックはどれくらいあるのかを調べた。まず個人活動で見つけた製品を、グループ活動で出し合い、付箋に記入、模造紙にポジショニングマップを作成した。児童が記入したのは、のり、ものさし、ひきだしなど。ポジショニングマップの縦軸は、プラスチック製品が利用できる期間「(上)何度も使える製品/(下)1回で捨てる製品」、横軸は使用頻度「(右)私が毎日使う製品/(左)私が使わない製品」で、付箋に書いた製品を貼っていくと、学校にある製品は「何度も使える」ものが多いことに気付く。
今後の授業では、家庭のプラスチック、スーパーやコンビニエンスストアの商品について調べ、同様にポジショニングマップを作成する。家庭への周知にもつなげ、学校、家庭、スーパーを比較し、調べてまとめたことを通して、自分たちにできることを考える。
東京都小中学校環境教育研究会では、単元として全20時間程度のモデルプランを作成。今回の授業を行った八長主任教諭は、自校の府中市立府中第六小学校で3年生「総合的な学習の時間」でモデルプランを実践中だ。
5年生はこれまで、さまざまな教科横断的な学習を通して農業について関わってきた。社会科では「高い土地のくらし」の単元で、町田市と交流都市である長野県川上村の高原野菜(レタス)農家の事例を扱うほか、移動教室で川上村に訪れ、農業体験を行った。また総合の「地域とのつながり」では、駅前スーパーの店長による出前授業を実施し、食品ロスについて学んだ。駅前スーパーで川上村のレタスの販売体験も実施。他にも理科や国語で、農業に関する課題を身近なこととして学んできた。
公開授業は社会科の小単元「これからの食料生産とわたしたち」。指導計画は全9時間で、食料生産の課題について話し合い、学習問題を作ることからスタート。食生活の変化や輸出入、食料自給率、食の安全・安心、企業や団体の取組などについて調べを進めた。
1組では7時間目の過程で公開授業を行った。自分たちがこれからの食料生産を進めるために何ができるかを考えた。
児童は食品ロスを減らすために個人でできることを考え、付箋にアイデアを1つずつ記入。「買い物に行く前に、冷蔵庫の中を確認する」「ごはんのおかわりは少しずつにして残さないようにする」…など、出てきたアイデアについて各班で話し合い、「食べる時の注意 家/外」「買うときの注意」「残した場合にできること」「人に伝える」といった項目で分類した。
今後は考えたアイデアを実践するために、ポスターづくりなどに取り組んでいく。
東京都小中学校環境教育研究会は、都内3~6年生1421人に実施した意識調査の結果を紹介した。「コンビニでたくさん買ったものを何に入れて持ち帰るか」の設問では、「持ってきたバッグ」が60%を超え、浸透していることがわかった。また「処理に困るごみはどれだと思うか」では、「生ごみ」が最も多く40%を超え、次いで「ペットボトル」約30%、「びんごみ」約20%、と続く。生ごみの処理や、びんの製品があまり身近でないことなどが理由として考えられる。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2020年3月16日号掲載