「第51回全国小中学校環境教育研究大会(千葉大会)」が11月22日に開催される。地球温暖化や海洋プラスチックなど、環境問題に関するニュースが今年もメディアなどで取り上げられ、世の中の関心が高まっている。全国小中学校環境教育研究会(藤森克彦会長=大井第一小学校校長)では、授業の開発や教員向け研修会などを行っている。児童生徒が「自分ごと」として考えるためのきっかけづくりや、授業提案について、關口寿也研究広報部部長(多摩市立南鶴牧小学校校長)に話を聞いた。
全国小中学校環境教育研究会は、昭和39年、東京都小中学校公害対策研究会として発足し、のちに現名称に改名。現在は研究主題「持続可能な社会づくりのための環境教育の推進」のもと、東京都小中学校環境教育研究会とともに、環境教育の研究と普及に取り組んでいる。環境教育に問題意識を持つ小中学校の教員で構成されており、理科のほか、社会、家庭科が専門の教員が多い。
活動の柱となっているのは、①授業プログラムの研究開発・実践、②教員対象の研修会、③全国小中学校児童・生徒環境絵画コンクール、の3つ。
①授業プログラムの研究開発・実践では、東京都小中学校環境教育研究会を中心に指導案作りを行っている。昨年度は食品ロスについて、「総合的な学習の時間」での70時間のプログラムを作成し、会員の小学校で実践した。プログラムは各校の取組に合わせて、一部分だけでも抽出して授業展開ができる構成だ。
今年度と来年度は「マイクロプラスチック」に関する授業案の作成に取り組んでいる。授業案は毎年開催される全国小中学校環境教育研究大会で発表され、大会資料に収録される。
②教員対象の研修プログラムは、エネルギー教育研修会(東京ガス豊洲スマートエネルギーセンター等見学)、動物園研修会など。研究会会員以外の一般の教員に広く参加を呼び掛けている。
③全国小中学校児童・生徒環境絵画コンクールは今年度で23回目を迎えた(今年度の作品募集は終了)。入賞作品の一部は環境白書の表紙などに使用される。
他にも、指導集や研修会の講師等として、文部科学省、環境省、各学会、エネルギー関連企業と連携して活動を行っている。
最近の動向として關口校長は「環境教育として取り上げるテーマの範囲が広くなった。さらに様々な要素が絡み合っており、授業で取り上げる切り口も難しくなってきている。消費者側からのアクションだけでは解決できない課題も多い」と話す。例えばスーパーマーケットで販売している商品のパッケージの素材は、消費社会や流通の利便性によって選択されている側面が大きい。
そうした中、どのような授業や教育活動ができるのか。同会ではESD(持続可能な開発のための教育)の考え方を柱とした環境教育を通して、育成する能力・態度について研究を進めている。
「SDGsは、2030年までに達成したい目標をわかりやすく示している。SDGsの目標を達成するために、ESDの手法で授業をしよう、とより多くの先生にわかりやすくアピールできるようになった」。
児童生徒の環境に関する意識調査も行いながら、効果的な授業案作りに力を入れていく。
同研究会HP=http://kankyokyoiku.jp/
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年11月18日号掲載