岩手県一関市では、毎年秋に「読書Week」を設けている。その事業の1つが「絵本給食」だ。絵本などに出てくる料理や食べ物を、実際に給食で食べることを通して、本の世界と現実の世界が結びつくという楽しさを実感したり、主人公や登場人物の思いや考えを感じたりすることがねらいだ。
市内の小学校28校・中学校16校全校で「絵本給食」を実施するのは、昨年に引き続き今年は2回目。市の教育委員会が企画し、10月28日~11月8日の期間中に行われる。
各学校、市内6つの学校給食センター、市立図書館の連携で実施する。給食センター毎に実施する絵本を決定し、絵本に出てくる料理を給食の献立に入れる。さらに児童生徒に配布する「献立表」では絵本や献立について紹介する。
市立図書館では、該当する絵本の貸し出しを実施(当該絵本を所蔵している小学校や、中学校への貸し出しはしない)。貸し出し・返却は、市教委がまとめて行う。
学校では、絵本給食について児童生徒に知らせ、絵本を紹介する。小学校では絵本の読み聞かせなど、中学校では、食に関わる本や別の本の紹介を行う。
今年は『雪窓』(安房直子/作、山本孝/絵、偕成社)を題材に、「おでん」を小学校2校、中学校1校に、また『せかいいち おいしいスープ』(マーシャ・ブラウン/文・絵、こみやゆう/訳、岩波書店)の「野菜スープ」を小学校5校、中学校2校で提供するなど、各地区の学校給食センターから給食が提供され、10月中旬から1か月間、各校に該当する絵本が貸し出される。
同市では一昨年度に先行実施を行っている。特定の絵本とその話に出てくるメニューを食べることが理想だが、各校に特定の絵本がなく、公共図書館等でそろえて配布することも難しい、といった課題があった。そこで絵本とメニューは決めるが、他の本にも代替えできるようなメニューにする、給食センターごとに別々のメニューするなど工夫を重ね、市全体での実施に結びついた。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2019年10月28日号掲載